今日の神坂課長は、梅田君が作成した見積りをチェックしているようです。

「梅田、ここ、計算式が違っているぞ!」

「えっ、マジですか? おかしいなぁ」

「おかしいなじゃねぇよ。ほら、粗利率が55%もあるわけないだろう」

「あ、本当ですね。なんで気づかなかったんだろう・・・」

「それは俺が聞きたいよ。梅田、上司から依頼された仕事を処理するときに、ロボットになるなよ」

「ロボットですか?」

「ロボットには心がないだろう? 打ち込まれたコンピューターのプログラムどおりに、ただ器械的に処理をするのがロボットだ。お前も、まるでロボットのように、心を失って仕事をしていたんだろうな」

「・・・」

「梅田、今回の見積り作成から何を学ぼうと考えて、この見積りを作ったんだ?」

「えっ、何を学ぶかですか・・・」

「ほらな、そこを考えずに、ただ見積りを作れと言われたから作っただけだろう?」

「あ、はい」

「俺の見積りを作れというプログラムどおりに、心がないまま作業をしたんだ。それでもロボットはミスをすることはないが、人間は心を失って仕事をすると、大概ミスをするんだよ」

「何を学べばよかったのですか?」

「それを自分で考えてから仕事をするんだ。たとえばの話だが、粗利率の目標を12%に置いて、最初の段階でいくらで提示するかを考える。どっちみち値引き交渉が入るから、最初から底値で勝負したらダメだ。まず、少し余裕をもった見積りを提示する。そういう駆け引きを想定しながら作成するんだよ」

「ああ、それは面白そうですね」

「たとえばの話だぞ。その仕事から何を学ぶかは自分で設定した方がいい」

「はい。その当たりを考えて、もう一回作り直してみます!!」


ひとりごと

作業をする際にロボットになるな。

これは、小生がよく後輩や部下の社員さんに言っていた言葉でもあります。

仕事は主体性を失うと必ずミスをします。

また、そこから学べることも極端に少なくなります。

どんな小さな作業でも、主体性を忘れてはいけませんね。


【原文】
凡そ官事を処するには、宜しく先ず心を以て簿書と為し、而して簿書又之を照らすべし。専ら簿書に任せて以て心と為すこと勿れ。〔『言志晩録』第161条〕

【意訳】
大体、役所の仕事を処理するに当たっては、まず自分の心で主体的に帳簿や書類を作成し、その上で帳簿や書類をもって自らの心を照らすべきである。まちがっても帳簿や書類を頼りにし過ぎて、自らの心が客体になってはいけない

【一日一斎物語的解釈】
書類作成などの作業をする際には、主体的な心を忘れてはいけない。主体的な心を忘れて、まるでロボットのような仕事をしていては、学びも少ない。


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