今日の神坂課長が疲れ果てて帰社しました。

「あれ、課長。随分お疲れモードですね?」

「山田さん、どうしてこの業界人は、出世話とか金儲けの話ばっかりするのかねぇ」

「ははは。また、大学のたまり場でそんな話に付き合わされたんですか?」

「そうそう。参ったよ。俺はそういう話は好きじゃないんだよね。そういうのは大累に任せておけばいいんだよなぁ」
少し離れたところにいる大累課長に聞こえるように言ったようです。

「神坂さん、呼びました?」

「いや、なんでもないよ!」

「でも課長、医療機器業界に限らず、出世話とか金儲けの話は好きなのではないですか?」

「まあ、そうか。せっかく、同じ施設の担当者同士なんだから、もう少し有意義な情報交換がしたいよね」

「そうですね。ただ、出世話の中でも、担当施設の教授選とか、院長交代といった話は重要ですよね」

「そうそう。そういう話ならまだ良いの。今日なんかはね、Y社の〇〇さんが課長に昇格したとか、K社の誰々が左遷されたとか、そんなのばかり。詰まらないよね」

「私もそういう話は嫌です。そういう話は、大概最後は、『良いよなぁ、誰々さんは』みたいな形でため息をついて終わりますよね」

「その通り! あそこにいるとオッサン達のため息を何度聞かされるかわからない!」

「想像しただけでゾッとします」

「でしょう? お客様のお役に立つ仕事をするためのネタを探してあそこに行くんだけど、もうやめようかと思ってるよ」

「あ、神坂さーん!」
向こうの席から大累課長が呼び掛けているようです。

「そういえば、K社の夏木さんが左遷されたらしいですよ!」

「ほらね。無視していいかな?」

「可愛い後輩じゃないですか! しっかりお付き合いしてください」


ひとりごと

皆さんの会社にもいませんか。

社内の人事異動に異様に詳しい人。

異動時期になると、どこから聞きつけるのか、そういう話を自慢げに話しますよね。

小生は昔からそういう話が嫌いで、社内の異動も随分後になって本人に会って知るということがよくありました。

あまり疎いのもいけませんが、そこに詳しくなるくらいなら、もっと他に仕入れるべき情報はたくさんありますよね!


【原文】
吏人(りじん)相集まりて言談(げんだん)すれば、多くは是れ仕進(ししん)の栄辱、貸利の損益なり。吾れ甚だ厭う。然るに、平日聴くに慣れ、覚えず偶(たまたま)自ら冒しぬ。戒む可し。〔『言志晩録』第163条〕

【意訳】
役人達が話すことと言えば、ほとんどが昇進・昇給・栄転・左遷といった話題か、お金儲けの話である。私は非常に腹が立つ。ところが、毎日そんな話を聴いているといつの間にかそれに慣れてしまい、気づかないうちに自分も同じことをしていることがある。反省せねばならない

【一日一斎物語的解釈】
出世話や金儲けの話は、ほどほどにすべきである。先義後利、仕事の目的は顧客の課題解決のお手伝いであり、自分のことは後回しにすべきである。


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