今日の神坂課長は、大累課長と晩酌中のようです。

「俳優の東出昌大は、やっちまったな。奥さんが杏というのもヤバいだろう。親父は渡辺謙だからなぁ」

「奥さんが誰とか、その父親が誰とか、そういう問題じゃないでしょ。そもそも行動がアウトですよ」

「まあな。でも相手は22歳なんだろ? それも19歳のときから付き合ってたらしいじゃないか、うらやましい」

「神坂さん、ロリコンだったんですか?」

「19歳はもうロリータではないだろう。立派な女性だよ」

「神坂さん、ヤバいですね」

「お前の方がヤバいだろう。お前は10歳上の女でもいけるとか言ってたよな?」

「全然いけます」

「あれ? なんか厳しい目線を感じないか?」

「うわっ、ちさとママが睨んでますよ」

「そこの下品なおじさん達、清純派のママがいるこのお店でそういう話題はやめていただけませんか? 帰ってもらうわよ!」

「ごめん、ごめん。これが男の性ですから。ママ、生お替わり!」

「危ないところでしたね。ママが怒ると怖いからなぁ」

「だけど、自分の好みの女の子に優しくされたりすると、すぐにぐらっとくるのが男だよな。お互い、色欲には気を付けようぜ」

「私欲に打ち克つことが、君子の第一歩でしたね」

「でも、孔子でさえ、若い時は南子という絶世の美女に誘われて寝室に入ったという話があるからなぁ」

「マジですか! そういえば、渋沢栄一さんも松下幸之助さんも、奥さん以外に女性がいたらしいですね」

「一斎先生は、色と飲食という欲望に克つことが重要だと言っている。ということは、一斎先生でさえも、そういう気持ちはあったということだ」

「こらっ、お前たち! そういう勝手な解釈で、不倫を正当化するな!」

「ママ、いつの間に戻ってきたの?」

「私は神出鬼没なのよ」

「たしかに、鬼みたいな顔してる」

「はい、ウーロン茶」

「ちょっと待ってよ、俺は生を頼んだんだけど・・・」

「女性もそうだけど、お酒も控えめにしないとね。それを飲んだら帰ってね」

「おい、大累。ママは結構マジでキレてるぞ。これは早めに帰った方がいいな」

「続きは、いつものショットバーでやりますか?」

「ダメだ、ママがずっと睨んでる。今日はおとなしく帰ろう」


ひとりごと

かつては、芸のためなら女房も泣かす、と歌っても許される時代でした。

しかし、今は酒やドラッグ、あるいは女性問題で番組を降板したり、CM放映が中止されるといったタレントが後を絶ちません。

世知辛い世の中になったとも言えそうですが、ここはやはり一斎先生の言うとおり、大欲を抑えていかねばならないのでしょう。


【原文】
人欲を去れとは、学人皆之を口にするも、而るに工夫太だ難し。余嘗て謂う、「当(まさ)に先ず大欲を去るべし」と。人の大欲は飲食男女に如くは莫し。故に専ら此の二者を戒む。余中年以後、此の欲漸く薄く、今は則ち澹然として、精神、壮者と太だ異なること無し、幸なりと謂う可し。〔『言志晩録』第178条〕

【意訳】
「欲を取り去れ」とは学者先生が異口同音に言うことであるが、実際に実行することは極めて難しい。私はかつて、「まず大きな欲望を去るべきだ」と言ったことがある。人間にとっての大きな欲望とは、食欲と色欲に優るものはない。したがって主にこの二つの欲を慎むのだ。私は中年になって、この二つの欲がようやく薄くなり、今はこだわりもなくさっぱりしたもので、心持は壮年の人とそれほど差異はない。幸いなことである

【一日一斎物語的解釈】
私欲に克つことができれば、ゆったりと余裕をもった生き方ができる。


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