今日の神坂課長は新美課長とランチ中のようです。

「新美、男の子も可愛いだろう?」

「めちゃくちゃ可愛いですね。目の中に入れても痛くないというのもわかる気がしますね」

「痛いに決まってるだろ。そもそも入るわけないだろ!!」

「真面目に答えないでくださいよ」

「俺は男の子が欲しかったから、長男が生まれたときは嬉しかったな」

「二人目も男の子でしたね?」

「種馬を作らないと人類は増えないからな」

「子供を競走馬みたいに言うのやめましょうよ」

「ていうか、やっぱりお前の方が真面目だよ。ツッコミが律儀過ぎて面白くない」

「その辺は大累さんに譲ります。ところで、神坂家の教育方針はどんな感じなのですか?」

「教育方針? そういうのは急に聞かないでほしいな。前の日に言っておいてくれたら考えたのに!」

「教育方針ってそういうものじゃない気が・・・」

「実は昨日も佐藤部長と話したんだけど、父親としての厳しさが足りなかったかも知れないな。俺に威厳を感じてくれてはいないと思うしな」

「威厳ですか、それは今の時代なかなか難しいですね」

「まあな、でも伸び伸び育てるのが一番だとは思う。そこに適度な厳しさを織り交ぜるのがベストなんだろうな」

「ちょっと前に流行ったゆとり教育というのは、やり過ぎでしたね」

「あれはないよ。だいたい運動会で手をつないでゴールするってなんだ? じゃあ、テストもみな同じ点数を取らせるのかって話だよ!」

「たしかに、運動が得意の子もいれば、勉強が得意な子もいますからね」

「俺は典型的な前者だったからな。運動会とかマラソン大会では、いかにぶっちぎって勝つかを考えていたもんな」

「そこで、勉強が得意な子を見返してやろうってことですね?」

「そこで勝てばチャラだと思ってた。今は勉強ができた方が良いとは思うけどな。(笑)」

「やっぱり個性を大事にしないといけないですね」

「そうそう。サラリーマンというのはなんの個性もない奴らの集まりさ。だから、息子たちにはサラリーマンにはなって欲しくないんだ」

「ちょっと極端な考え方の気もしますが、個性尊重には賛成です。私もそれを意識してみます!」

「でも、威厳も保てよ。じゃないと、俺みたいに子供にナメられるぞ。あ、そういえば会社では石崎にナメられてるし、俺はどこに行ってもナメられる運命なのか!」

「ゴン」

「痛っ、いきなり何をするんですか!」

「なんだか腹が立ってきたから」

「私は関係ないですよね? そういうことするからナメられるんじゃないのかなぁ」

「えっ、俺ってやっぱりみんなにナメられてるの?」


ひとりごと

子供の教育には頭を悩ませますね。

自由に伸び伸び育ってほしい反面、やはり適度に厳しく叱る場面も必要なのでしょう。

子供の個性を見抜くのは親の大切な役割かも知れませんが、学校の先生にもぜひその点を意識した教育をお願いしたいですね。


【原文】
父の道は厳を貴ぶ。但だ幼を育つるの方は、則ち宜しく其の自然に従って之を利道すべし。助長して以て生気を賊(そこな)うこと勿くんば可なり。〔『言志晩録』第230条〕

【意訳】
父親の子供に対する教育は厳しさがなければならない。ただし、幼少期はなるべく自然に任せて、よき道へと導くことが必要である。無理に矯正して子供らしい活力を奪ってしまうことは避けるべきだ

【一日一斎物語的解釈】
幼児期の教育に関しては、その子の個性を伸ばすことを心掛けねばならない。


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