今日の神坂課長は、相原会長の自宅にお邪魔しているようです。

「競艇場も無観客で開催しているし、たまにはこういうのも良いね」

二人はネットでナイター競艇を観戦しながら、晩酌をしているようです。

「酒が入ると予想勘は鈍りますけどね」

「あれ、そうなの? じゃあ、神坂君はいつもお酒を飲んで予想しているのかな?」

「強烈な嫌味ですね。どうせ、私の予想は当たりませんよ」

「いや師匠、これは失礼。(笑)」

「おお、今日のメインレースは兄弟レーサーと双子のレーサーが同じレースに出てるんですね」

「ああ、篠崎兄弟ね。この二人はどちらも一流選手だよね」

「ともにA1のトップクラスで走っていますからね。それにこの池田姉妹は双子なんですよ」

「そういえば写真の顔はそっくりだね」

「ところで会長は、ご兄弟は何人いらっしゃるんですか?」

「僕を含めて5人。僕の子供の頃は子だくさんが当たり前だったからね」

「仲は良かったのですか?」

「貧乏一家だったかけど仲は良かったよ。僕は末っ子だから、母というより姉に育ててもらったようなものだもん」

「今でも会いますか?」

「兄と姉がひとりずつ亡くなっちゃったけど、残った3人は年に一回くらい会うかなぁ。最近はお互いに年を取ったからなかなかね」

「私も子供の頃はよく兄と喧嘩をしました。優秀だった兄と比べられるのがなにより嫌でした」

「お兄さんは亡くなったんだよね」

「はい。私も成人してからはやっと素直に接することができるようになって、これから兄弟でいろいろ話をしたいなと思っていた矢先に・・・」

「僕も若いころは、兄や姉の親切心を素直に受け取れなかったりもしたけど、ずっと一緒にいれるわけじゃないんだよね」

「それを思い知りました。だから、息子たちが喧嘩をしていると、『喧嘩をしてもいいけど、お互いの気持ちを考えてみろってよく話をします。『父さんの兄さんはもういないんだ。いなくなると寂しいものだぞって」

「それはとても良い指導だなぁ」

「兄が死んで、この話をするようになってから、息子たちの喧嘩があきらかに減りました」

「親はもちろん、兄弟姉妹も大切にしないといけないね。いなくなってから後悔しても始まらないもんね」

「お、いつの間にかレースが始まっていましたよ。やっぱり篠崎兄弟の1・2着ですね」

「すごい、すごい。双子の姉妹で3着争いを演じているね。この両兄弟・姉妹は今とっても幸せを感じながらレースをしているんじゃないかなぁ」

「そうですね。そして、このままゴールしてくれると、私も幸せを感じれるんですけど・・・」


ひとりごと

小生は3人兄弟の長男です。

妹とはだいぶ年齢差があるので、仲良くやってきましたが、弟とはよくケンカをしました。

今思えば、小生が弟を侮辱し過ぎていたと反省しています。

幸い弟も妹も元気ですので、これからは兄弟の時間を大切にしていきます。


【原文】
兄弟の友愛なる者は之れ有り。姉妹に於いては則ち或いは否(しか)らず。傲侮して以て不順なること勿れ。李英公、姉の為に粥を煮しは学ぶ可し。〔『言志晩録』第231条〕

【意訳】
男兄弟には仲の良いものがあるが、女姉妹にあってはそうでないものがある。傲り侮って道理に背くようなことではいけない。唐の李英公(李勣:りせき)が姉の為にお粥を煮たという故事に学ぶべきである

【一日一斎物語的解釈】
兄弟姉妹は仲睦まじくあるべきだ。相手を馬鹿にするような気持ちになったら、いつまでも一緒にいれるわけではないことを思うと良い。


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