今日の神坂課長は、BestFaceというインサイドセールスのツールをつかって、A県立がんセンター消化器内科の多田先生と会話をしているようです。

「多田先生、映ってますか?」

「おお、なんだかみすぼらしいおっさんが映ってるぞ」

「あ、それは私じゃないですね。混線でもしてるのかな?」

「お前だよ!」

「わかってますよ。今から今度デモで使ってもらうデバイスのプレゼン資料を画面に出しますね」

神坂課長は共有画面にパワーポイントの画面を出して説明をしたようです。

「一応、お見積りも作りました。これです」

「今使っているものより安いのか?」

「価格は上がりますが、使用回数が増えますので、結果的には収益改善につながるはずです」

「なるほど」

「先生、右下にあるDLボタンを押してください。この見積りが先生のPCにダウンロードされますから」

「おお、これか。へぇ、便利じゃないか。COVID-19が収束した後もこれでいいぞ。これだとお前の顔もそれほど見ずに済むしな」

「冷たいことを言わないでくださいよ。私はお客様の心に寄りそう営業を心掛けていますから、対面営業が基本です。これは急ぎのときや、先生か私が出張中の際に活用できたらいいなと思っています」

「面倒くさい奴だな。しかし、ITの進歩は目覚ましいな。どいつもこいつも経済が破綻するとか言うが、こうやってITを活用すれば、ある程度ビジネスは回せるはずだよな」

「はい、たしかに我々営業にとっては今は厳しい局面で、新規開拓は不可能に近くなっています。でも、それで気づいたのです。いかに自分たちは新規にばかり目を向けすぎていたかを」

「つねに新規を追いかけて数字をつくる企業は生き残れないな。それは病院も同じで、いかにリピートしてもらうかが重要なんだよ」

「そうですね。ピンチだピンチだと騒いでも何も変わりません。今は既存の大切なお客様との間で何ができるかを考えます」

「そうだな。このツールは患者さんとの間でも使えるかも知れないな。ただ非対面で会話ができるだけでなく、資料をやりとりできるのがいいな」

「このサイトの右上の企業のホームページがあるので、そこから資料もダウンロードできます。でも、もし必要なら私が資料を集めてお持ちしますよ。他の会社にも同じようなツールはありますから」

「いいよ、無理するな。お前との商談は今後全部これでいこう」

「多田先生、そんな寂しいこと言わないでくださいよ」

「そうだ、今度お前が来たら渡そうと思っていた本があったんだ。お、これこれ、この本だ。アマゾンで買ってくれ」

「いやいや先生、近いうちに行きますから、貸してくださいよ」

「話はこれだけだな? じゃあな」

「うわっ、一方的に切断されちゃった。なんか、ピンチをチャンスに変えたつもりが、かえってピンチになった気がするなぁ・・・」


ひとりごと

いまやCOVID-19の世界的な流行によって、”STAY HOME”が合言葉となっています。

そこに志村けんさんの急死も重なり、多くの日本国民にも不要不急の外出を控えようという意識が高まってきたようです。

その影響で、在宅ワーク、いわゆるテレワークやZOOM会議などが一気に広まってきたようです。

元々営業の世界では、欧米を中心に”インサイドセールス”が普及しており、ここではお客様への一時対応はWEB面談ツールを使うことが一般的です。

COVID-19が収まった後には、対面営業と非対面営業のバランスがあらたな課題として重要になってくるかも知れませんね。


【原文
人は苦楽無き能わず。唯だ君子の心は苦楽に安んじて、苦なるも苦を知らず。小人の心は苦楽に累(わずら)わされて、楽なるも楽を知らず。〔『言志晩録』第242条〕

【意訳】
人間であれば必ず苦楽を経験するものである。ただし、君子と呼ばれる立派な人は、その苦楽の中に心の平静さを保つので、苦を苦だと思わない。一方、小人つまり普通の人は、苦楽に一喜一憂して、わが身に楽があることに気づかないものだ

【一日一斎物語的解釈】
仕事で成果を上げる人は、苦境のときこそポジティブに考えて行動できる人である。


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