今日の神坂課長は、大累課長と喫茶コーナーで雑談をしているようです。
「神坂さん、コロナが収束した後も、この微妙な距離感は一般化するんですかね?」
「ソーシャルディスタンシングってやつか? ある程度は考慮されるようになるんじゃないか。あまりにもキチキチに客を詰め込むようなお店は改装を迫られるかもな」
「でも、人間同士の距離って心の距離感と比例しませんか?」
「近づく方が親しくなれるってこと?」
「はい」
「それはよくわかるよ。でもな、コロナの後は、そういう感覚が古いと言われていくのかも知れないぜ」
「やっぱりオンライン営業ってことも考える必要があるんですかね?」
「少なくともすぐに対応できる体制はとっておくべきじゃないかな」
「やりにくくなるなぁ」
「今回のCOVID-19の大流行は、どう考えても大自然の摂理の中で起きた出来事のような気がする。いくつもの変化の兆しが見えるじゃないか」
「それはそうですね」
「だから、ポジティブに捉えようぜ。今回の件は、人間が生き残っていくために、必要な変革の時期なんだと思うんだ。だったら、前向きにピンチをチャンスに変換できるような視点で物事を見ようじゃないか!」
「神坂さんは相変わらずポジティブですねぇ」
「ノー天気とか楽天家と言われるけど、そういう奴が世の中を変えていくんじゃやないかと思う。都合の良い解釈だけどな」
「いや、それは間違いないですよ。そういう人には人がついてきますからね」
「そういうお前も、かなりの楽天家じゃないのか?」
「まあ、どっちかと言えばそうですね。雑賀は逆ですけどね」
「雑賀か。ああいうタイプは、変化の兆しには気づかないかもな。あとで慌てるんだろう」
「ただ、今回はあいつの得意なITの世界が進展しそうなので、珍しく超ポジティブですけどね」
「いいことじゃないか! 心が明快でポジティブでいれば、きっと変化の兆しを先取りできると思うんだ。後で振り返って、この出来事が会社にとって良い出来事だったと思えるように、変化を先取りしていこうぜ!!」
「その前向きさには100%同意しますが・・・」
「なんだよ?」
「何が起きていて、この後何をすべきかについては、部長にも入ってもらってしっかり分析しましょうね」
「俺の分析じゃ心配か?」
「はい、信頼度0%です」
ひとりごと
自分の力ではどうしようもない出来事が起こるなら、それをポジティブに捉えるしかありません。
ネガティブになっても、もう以前に戻ることはできないのですから。
そして、常に心がポジティブであれば、変化を先取りできるのだ、と一斎先生は言います。
それなら猶更ポジティブでいたいですよね!!
【原文】
心気精明なれば、能く事機を知り、物先に感ず。至誠の前知するは之に近し。〔『言志晩録』第284条〕
【意訳】
人の心が晴れて明らかであれば、物事の兆しを予測でき、物事のはじめを感じることができる。『中庸』にある「至誠の前知」とは、このことに近いことを言っているのだ。
【一日一斎物語的解釈】
心の中を明るくポジティブにすることで、物事の変化の兆しを予見することも可能である。