今日の神坂課長は、オンラインの読書会に参加しているようです。
「あっ、フミさん、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「オフ・コース! アイム・ファイン・サンキュー」
「でたな、その勢いだけの英語! たしかに元気そうですね。(笑)」
「ははは。ゴッドも相変わらず口が悪いところをみると、元気そうだね」
「お陰様で。フミさん、いまは、能登半島でしたね?」
「オー・イエス! こっちに来てからは、朝からビールを飲んでしまうから、困ったものだよ。このままじゃ、バカな頭に磨きがかかっちゃうからどうしょうかと思ってた!」
「いや、でもすごいですよ。そのお年で、オンラインの読書会に参加するなんて。私ならもう朝からビールでOKだと思っちゃいます」
「でもね。せっかくそっちで本を読む習慣が身に付いたのに、もったいないじゃない」
「尊敬します!」
「ゴッド、水源のある活きた水があれば、植物はスクスクと育つけど、そうじゃない水たまりだと水も腐ってくるし、そのせいで植物も生きていけなくなる。私にとっての読書は、水源みたいなものだからね」
「なるほど。脳みそが腐ってしまうってことですか?」
「ノー、脳みそだけじゃないよ。私そのものが腐ってしまう。(笑)」
「ははは。たしかに、本を読む習慣がつくと、2~3日本を読まないだけで、なんだか堕落した気分になりますよね」
「ゴッド、すごいじゃない! そう思えたらもう安心だ! ゴッドの志はきっと適うよ」
「フミさんにそう言ってもらえると、自信が湧いてきますね。さて、今日は新渡戸稲造の『修養』です。これもなかなかページ数が多くて大変でしたね」
「400ページを超えた本を読むのは、しんどいね。それにこれは文庫本でしょ。字が小さくてねぇ」
「でも、内容はなかなか面白かったですね。ここでも習慣をつけることの大切さが書かれていました」
「うん。毎日お酒を飲む習慣だけは、忘れることはないのに、本を読むのは億劫になるときがあるのが困りものだよ」
「それはまったく同感です! あ、はじまるみたいですよ。今日もよろしくお願いします」
「オーライ・レッツ・エンジョイ!!」
ひとりごと
読書は心の食物だと言います。
人間はお腹がすくと、食事をしないではいられないのに、心が空になっても気づかないものです。
胃袋が腹八分がちょうどよいなら、心も読書によって常に八割は満たしておきたいですね。
【原文】
源有るの活水は浮萍(ふひょう)も自ら潔(きよ)く、源無きの濁沼(だくしょう)は蓴菜(じゅんさい)も亦汚る。〔『言志耋録』第16条〕
【意訳】
水源のある活きた水があれば浮き草でさえも清らかとなるが、水源の無い濁った沼では食用の蓴菜ですら汚れているように見える。
【一日一斎物語的解釈】