今日の神坂課長は、大累課長とランチに出掛けたようです。

「ここは相変わらず大人気ですね。11:50に入ってこれだけ席が埋まってるとは」
「ここのつけ麺は最高だからな」

二人とも魚介出汁つけ麺を注文したようです。

「麺の量はどうされますか?」
店員さんが食券を受け取りながら、聞いています。

「俺は大盛で」

「俺は特盛!」

「お前、まじか? 特盛って麺の量が700gだぞ」

「余裕です。だいたい、神坂さんが頼んだ大盛だって500gですからね!」

「ま、まあそうだな。でも、一斎先生は食事を質素にすることが、自分の欲望を抑える第一歩だと言ってるんだよな」

「つけ麺なんて、質素なもんじゃないですか。質と量は別じゃないですか?」

「お前、サンドイッチマンの伊達みたいなこと言ってるな。『ドーナツは真ん中に穴が開いてるから、カロリーゼロ』ってのと同じ類の屁理屈だ」

「だって、質素っていうのは、要するに豪勢な食事をするってことでしょう。俺たちは所詮つけ麺ですよ」

「声がデカいよ。お前、一所懸命に料理している人の前で、デカい声で『所詮つけ麺』はないだろう」

「あ、たしかに」

「衣食住の中で、一番我慢がきかないのが食事なのは間違いないよな?」

「単価は一番安いですからね。つい欲望に負けやすいのは、やっぱり食事でしょうね。というか、酒じゃないですか?」

「ピンポーン! 大正解です。問題はそれだが、お前の論理から言えば、酒を飲み過ぎるのは、量が多いだけで華美ではないから、OKってことになるな」

「そんなこと言ってませんけど。神坂さんの場合は、酒を飲んだ後に暴れるのが問題なんじゃないですか?」

「いつの話だよ。最近は暴れてないだろ!」

そこにつけ麺が運ばれてきたようです。

「はい、お待ちかねの『所詮つけ麺』です!!」

「お兄ちゃん、ごめ~ん、許して~!!」


ひとりごと

昨日に続き、飲食を慎むことに関する章句です。

物語では二人が勝手な論理を展開していますが、実際にはやはり量をコントロールすることも大切ですよね。

コロナ自粛のお陰で、世の多くの人たちは体重が増加しているようです。

メタボは成人病に直結します。

欲望をコントロールする鍛錬としてだけでなく、健康に暮らすための基本として、量を抑えることも意識しないといけませんね!(といいつつ、昨日はつけ麺やさんで大盛を注文してしまいました・・・)


【原文】
衣・食・住は並(ならび)に欠く可からず。而して人欲も亦此に在り。又其の甚だしき者は食なり。故に飲食を菲(うす)くするは尤も先務なり。〔『言志耋録』第43条〕

【意訳】
衣・食・住という三つの要素はどれも欠くことはできないものである。人間の欲望もここに存在している。そのうち最も甚だしいものが食への欲望である。だからこそ、飲食を質素にすることが最も先決なのだ

【一日一斎物語的解釈】
衣・食・住は、人間の根本的な欲望であるが、なかでも食への欲は最も強いものがある。よって、質素な食事を心がけることが先決なのだ。


本丸つけ麺