今日の神坂課長は、高校時代の同級生とオンライン飲み会をしているようです。

「田島、ごめんな。本当は顔を出すつもりだったんだけど、さすがにA県も感染者数が増えて来たから、今回はやめたよ。お祝いは後程送るからさ」

「神坂、ありがとう。まだ生後1ヶ月だからな、その方がありがたいよ」

「そうだよな。ところで、名前は決まったのか? 双子の男の子だったよな?」

「うん、決めたよ。『忍(しのぶ)』と『敏(さとし)』だ」

「へぇー、なんとなく東洋古典っぽいネーミングだな」

「おお、お前から東洋古典なんて言葉が聞けるとは思わなかったよ。大正解だ」

「え、やっぱりそうなの?」

「ウチのカミさんの知り合いに易の先生がいてな。その人にお願いしたところ、この名前になったんだ」

「どういう意味があるんだ?」

「『易経』という古典の中に、怒りや欲望に打ち克つためには「忍」の一字、過ちを認めて改めるためには、「敏」の一字が重要だ、という言葉があるらしい。そこから採用したとのことだった」

「なるほど、深いね。名前に込めた言葉って、言霊の様にその人に影響を当たるんじゃないかと最近は思うんだよ」

「勇(いさむ)って名前はどうなんだ?」

「お陰様で、何事にも果敢に挑戦するチャレンジ精神をもらった気がする。しかし、一方で匹夫の勇というか、要するに無謀な勇気で周りに迷惑をかけることが多々ったな。(笑)」

「そうか、じゃあ、ウチの忍は気をつけないと、何事も我慢し過ぎてストレスを溜めてしまうかもな」

「そうかもしれないぞ。小さいうちにその辺りのバランスを取るような教育をしておいた方がいいかもよ?」

「敏の場合は、素直さが仇にならないようにする必要もあるんだな」

「あくまで、俺の印象でしかないけどさ。しかし、双子ちゃんの名前は俺の人生の課題そのものだなぁ」

「ははは。でも、お前は過ちを認めないようなところはなかったじゃないか。すぐに潔く頭を下げていた印象があるけどな」

「そうかな。それが、部下の前だと意外とそうでもないんだよな。忍と敏か。田島、COVID-19が収束したら、定期的にお前のガキに合わせてくれ。名前を聞いて反省しようと思う」

「いいけど、それがわかってるなら日頃から意識すればいいじゃないか。(笑)」

「いや、その言葉とともに、純粋無垢な赤ん坊の顔を一緒に見ることで、自分を省みることが出来る気がするんだ」

「お前とは何時間いても飽きないし、きっと子供たちもお前のことは気に入るだろうから、喜んで歓迎するよ!!」


ひとりごと 

怒りや欲望については、再三取り上げている家康公遺訓にも「堪忍は無事長久の基。怒りは敵と思え」とあるように、忍ぶことが重要だと一斎先生は言います。

一方、自分に非があることが明白な場合は、即座に過ちを認める俊敏さも重要だとしています。

たしかに、この2つを心がければ、人生を穏やかに過ごせるように思います。

まさにまた、COVID-19との忍の戦いも始まったようです。

忍ぶべきは忍びつつ、COVID-19に打ち克ちましょう!!


【原文】
忿を懲し欲を塞ぐ」には、一の忍字を重んじ、「善に遷り過を改む」には、一の敏字を重んず。〔『言志耋録』第63条〕

【意訳】
『易経』にいう忿を懲し欲を塞ぐ」ためには、「忍」の字が最も重要であり、「善に遷り過を改む」ためには、「敏」の字が最も重要である

【所感】
怒りや欲望に打ち克つためには「忍」の一字、過ちを認めて改めるためには、「敏」の一字が重要である。


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