今日のことば

【原文】
英気は是れ天地精英の気なり。聖人は之を内に薀(つつ)みて、肯(あ)えて諸(これ)を外に露わさず。賢者は則ち時時之を露わし、自余の豪傑の士は、全然之を露わす。若し夫れ絶えて此の気無き者は、鄙夫(ひふ)・小人にして、碌碌として算うるに足らざる者と為すのみ。〔『言志耋録』第80条〕

【意訳】
すぐれた志気とは、この大自然における最もすぐれた気である。聖人はこのすぐれた気を内に蓄えて簡単には外に表わすことがない。賢者になると、時々これを外部に表わす。それ以外の豪傑の士はこの気を完全に外に表わしてしまう。もし、この気が全然無ければ、それは卑しい小人物であって、評価するに値しない人物だといえよう

【一日一斎物語的解釈】
聖人というものは、宇宙の摂理に常に適った活動をするが、賢人となると、時には宇宙の摂理から外れることもあり、豪傑の士は宇宙の摂理からは外れてしまっている。そして、凡人はそもそも宇宙の摂理というものの存在すら認識していない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、元同僚・西郷さんが主査するオンライン読書会に参加しているようです。

「サイさん、聞けば聞くほど、仁っていうものがわからなくなりますね」

「その感覚は私も経験したよ。仁はあまりにも広大無辺だから、凡人にはなかなか理解できないんだよね。あ、神坂君が凡人だというわけではないけどね」

「いやいや、私はザ・凡人ですよ! サイさん、今はある程度理解できたということですか?」

「仁がどういうものかを説明しろと言われるとまだ難しい。でも、仁を体現している仁者は意外と身近にもいるということがわかってきたんだ」

「本当ですか? 私の周りに顔回みたいな奴は一人もいませんよ!!」

参加者一同、画面の向こう側で大爆笑しています。

「本当の仁者は、自分を売り込もうとか、目立とうという気がまったくないんだよね。だから、こちらがそういう目でみないとなかなか見つけられないんだよ」

「へぇー、ウチの会社にもいるのかなぁ?」

「通常、そういう人は役職にも執着しないから、経営層にはいないかも知れないね」

「あえて言えば、佐藤部長だろうな。あ、サイさんは仁者かも知れませんね、元同僚ですけど」

参加者の皆さんは、笑顔で二人の会話を聞いています。

「顔回は、常に仁から離れないが、他の弟子は頑張って一ヶ月は仁を保っていても、翌月になると仁から離れてしまう。中には一日は頑張れても翌日には仁から離れてしまう者もいる。孔子は弟子たちのこをとそう評しているんだ。常に仁を持ち続けているということは、並大抵のことではないんだよ」

「そうでしょうね。仮に仁を宇宙の摂理のようなものだと考えてみると、仁者といわれるような人は、常に宇宙の摂理に則って生きることができるけど、凡人となると日によって、宇宙の摂理を外に放出してしまったり、内にため込んだりで一定しないということですね?」

「そういうことだと思うよ。人知れずに徳を積むと陰徳となってわが身に備わるけれど、それを他人にひけらかしてしまうと陽徳となって、わが身から離れてしまうんだろうね」

「なるほどなぁ。私なんて、巨人が勝った翌日は仁者でいられますけど、3連敗でもしようものなら、その翌日には、誰も近づけないくらい危険なオーラを発しているらしいです」

「ははは。それは駄目だね!」

「はい。物事に動じず、常に陰徳を積める人間にならないといけないですね。反省します。(笑)」


ひとりごと 

心の安定を保つというのは、とても難しいことですね。

夫婦喧嘩をすれば、会社に行っても気分がすぐれず、つい部下を叱責してしまったりといった経験は誰しもあるのではないでしょうか?

顔回は、怒りを遷さなかったと言われています。

つまり、怒りを覚えても、それで周囲への対応が変わるようなことは決してなかったということです。

常に、仁を、宇宙の摂理を心の奥深くにしまい込んだまま日々を過ごせる人を目指さねばなりませんね!


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