今日のことば

【原文】
古今歴代の人気(じんき)、開国の時は豁然として春の如く、盛世の時は鬱然として夏の如く、衰季は則ち颯然として秋の如く、乱雑は則ち粛然として冬の如し。〔『言志耋録』第81条〕

【意訳】
古今を通して人の気というものをみると、建国の時はからりと開けた春のようであり、全盛期には草木が鬱蒼と茂る夏のようであり、衰退期は風が吹き落ち葉が舞う秋のようであり、騒乱の時は荒涼として冬のようである

【一日一斎物語的解釈】
国の盛衰にも企業の盛衰にも四季がある。常夏を実現することは容易ではないが、少しでも秋の到来を遅らせる工夫をすべきではないか。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業部の佐藤部長の部屋に居るようです。

「一斎先生って、物事を四季に例えるのがお好きですね」

「あー、たしかにそうかもね」

「今朝、ペラペラっとめくった時に目に留まったのが、国の盛衰を四季に例えている章句でした」

「『言志耋録』の中の言葉だったかな?」

「はい、そうです。あれを読んで思いました。ウチの会社も創業25年を迎えています。企業の寿命は30年とも言われていますから、普通に考えればもう冬の時期に入っているとも考えられます」

「当社は今のところお順調に売り上げを伸ばしているし、まだ夏真っ盛りだと思ってもいいのではないかな?」

「だとすると、いかに夏を維持して、秋の到来を遅らせるかですね」

社長も川井さんも、その辺はかなり真剣に考えているみたいだよ」

「我々にできることはありますか?」

「営業部である以上、売り上げと利益をしっかりと稼ぐことがまず第一だろうね。ただ、今回のCOVID-19によって、大きく時代が動いたのは間違いないから、そうした変化に対応できる組織にしていかなければいけないね」

「たしか、ダーウィンの言葉で、生存競争に生き残るのは、強い者でも、賢い者でもなく、変化に対応できる者だ、というのがあると聞いたことがあります」

「うん、実はそれダーウィンの言葉ではないらしいんだけどね」

「そうなんですか?!」

「まあ、それは置いておくとしても、その言葉のとおりだね。常夏を実現するには、変化にいち早く対応できなければいけない」

「ウチにも毎年新しい顔が入ってきています。彼らのためにも、会社を潰すわけにはいきませんね!」

「うん、そのために時代の変化をしっかりと先取りして、迅速に対応していこうじゃないか」

「はい。それに・・・」

「ん?」

「やっぱり夏がいいですよね。冬は嫌いです。寒いもんなぁ」


ひとりごと 

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、
偏へに風の前の塵におなじ。

これは有名な『平家物語』の冒頭の言葉です。

この世にあるものは、すべていつかは消えてなくなります。

しかし、奢るものは、慎ましいものより早く亡びるもの。

工夫次第で、秋の到来を遅らせることは可能なのではないでしょうか。


pyoko11_kouyou
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