今日のことば

【原文】
古人、易の字を釈して不易と為す。試みに思えば晦朔(かいさく)は変ずれども而も昼夜は易らず。寒暑は変ずれども而も四時は易らず。死生は変ずれども而も生生は易らず。古今は変ずれども而も人心は易らず。是れ之を不易の易と謂う。〔『言志耋録』第86条〕

【意訳】
古人(漢の鄭玄)は易を不易(易簡・変易を加えて易の三義という)だと解釈した。試しに考えてみると、暦は晦(つごもり)からついたち)へと移り変るが、昼と夜は変わらない。寒暑は変って行くが、春夏秋冬は常に順番どおりに繰り返される。ひとりの人間は生まれていつかは死ぬが、次々に新たな生が生まれて来ることは変らない。昔と現在で時間は異なるが、人間の心は易わらない。これを不易の易というのだ

【一日一斎物語的解釈】
変化の中にも一定の法則がある、これを不易という。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、相原会長と zoom 飲み会をしているようです。

「相原会長、ご無沙汰しています。こんな形ですみません。本当はお伺いしたいんですけど・・・」

「コロナに感染したらイチコロだからね!」

「そういうわけじゃないんですけど、やっぱり高齢の会長のところには行きづらくて」

「こうして気にしてくれるだけ、うれしいよ。どう調子は?」

「その質問は?」

「あ、もちろん競馬と競艇ね。神坂君は私のギャンブルの師匠だから」

「それ、奥様とかはどう思われているのでしょうか? うちの主人に変なことを教えて、けしからん社員だと思ってないですか?」

「あ、思ってるみたいだよ」

「あー、ますます会長のご自宅には行きづらい」

「ははは。冗談だよ。それにしても歴史は繰り返されるんだね。スペイン風邪とかSARSとか次々に新しいウィルスが生まれて、そのたびに多くの人の命が失われていくんだね」

「日本では死亡者数はそれほどでもないですけど、世界的にはとんでもない数になっていますね。たしかに、ウィルスはその都度違いますが、まるで定期的に流行がやってくるようですね」

「不易流行だね」

「なんですか、それ?」

「世の中には変わらないものと変わるものがある。実は変化のなかに不変のものがあったりするんだよ」

「ああ、そういうことですか。たしかに、そうですね。今回のCOVID-19が沈静化しても、またいつか新しいウィルスが生まれてくるんでしょうね」

「そう。疫病の流行は歴史的にも何度も繰り返されているからね。かつては、それは君主の不徳の致すところだとされた。それで歴代の天皇は、般若心経を書いて寺社に奉納したりしているんだよね」

「今となっては非科学的な気もしますが、しかし、もしかするとそうなのかも知れませんね。私たちは宇宙の摂理の中で生かされているらしいですから」

「うん。それにギャンブルで大損をする人も性懲りもなく、沢山いるよね」

「勝てるわけないのに、ですね」

「わかっちゃいるけどやめられない!ってやつだね」

「さて、会長。メインレースが始まりますよ。動画はうまく共有できるかな? お、できたかな。会長、動画観れますか?」

「うん、観れる。さあ、また無駄遣いを楽しもう!」


ひとりごと 

どれだけ化学が進歩しても、意外と人の心は変わらないものです。

二千五百年前の孔子の時代も、現代も、人間は同じように人間関係に悩み、同じように出世に躍起となっています。

特に人間の心というものが、一番成長の速度が遅いのかも知れません。


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