今日のことば

【原文】
義は宜なり。道義を以て本と為す。物に接するの義有り。時に臨むの義有り。常を守るの義有り。変に応ずるの義有り。之を統ぶる者は道義なり。〔『言志耋録』第97条〕

【意訳】
義とは時宜にかなったものであり、道理の義をその根本としている。物事を処理するにも義があり、時に臨むにも義があり、常に守るべき法としての義もあり、不測の事態に対応するにも義がある。これらをすべて統制しているのは道理の義である

【一日一斎物語的解釈】
何をするにも、常に義に適った行動をとるべきである。義とは、その時と場に応じた正しい(最善の)道をいう。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課のミーティングを開催しているようです。

「ということで、上期も残り一ヶ月と少しだ。COVID-19の影響で売上計画達成は難しい現状だけど、少しでも売り上げにプラスできるものがあれば、頼むぞ」

「はい!」

「でも、課長」

「なんだ、石崎」

「どこの病院もクリニックさんも患者さんが減っているというのに、我々が売り上げアップを図って良いものでしょうか?」

「大事な視点だな。山田さん、どう思う?」

「石崎君の言うとおり、どこのご施設も設備投資は抑えたいのが現状だと思います。しかし、今だからこそ必要な医療機器というものもあるはずです」

「たとえば?」

「これから冬になると、インフルエンザが流行するでしょう。今年はCOVID-19との鑑別を早くしたいので、インフルエンザの迅速検査キットや診断装置を早めに導入することは、ご施設にとってもメリットがあるのではないでしょうか?」

「たしかに、そうだね。どうだ、石崎?」

「はい、勉強になります。確かに今までは、迅速診断の装置はコストが高いといって敬遠されてきました。でも、今年はコロナなのか、インフルエンザなのかを早く知りたいと思う患者さんも多いでしょうから、導入する意味はありますね!」

「そのとおりだよ。我々が絶対にやってはいけないのは、今不必要な装置を売りつけることだ。キャンペーンをして安く買ってもらおうと考えるメーカーさんもあるが、あれはナンセンスだよな」

「はい。この先の第二波、第三波のリスクを考えたら、なるべく投資は抑えたいはずですから、値段を安くして足元を見るような営業はしたくないです!」

「それで良いよ。我々の仕事はお客様のお役に立つこと。もっと言えば、課題解決のお手伝いだ。それがうまく行ったとき、そのお礼として売り上げというお金をいただくんだよな」

「はい。先義後利ですね!」

「お、よくそんな言葉を知っているな」

「この前、読んだ本に書いてありました」

「石崎の言うとおりで、商売というものは、利より義を優先しなければいけない。義というのは、その時の最善策だ。つまり、お客様にとって今まさに必要な商品を提案し、ご購入いただくことだよ」

「はい!」

「山田さんが言ってくれたように、今だからこそ必要なものもある。お互いによく考えて提案活動を行って欲しい。良い結果が出たら、すぐに水平展開を図ろう!」


ひとりごと

どんなときにも、その時と場所において最適な選択肢を選ぶことが求められます。

この最適な選択肢を「義」と呼び変えても良いでしょう。

「義」を無視した「利」というものは、長続きしません。

商売において重要なことは、リピーターを獲得することです。

リピーターを獲得するには、利より義を優先する必要があるのです。


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