今日のことば

【原文】
静坐中は、接物の工夫を忘るる勿れ。則ち是れ敬なり。接物の時は、静坐の意思を失う勿れ。亦是れ敬なり。唯だ敬は動静を一患す。〔『言志耋録』第98条〕

【意訳】
静坐をしているときは、物事に対処する工夫を忘れてはいけない。それは即ち「敬」である。また、物事に対処するときは、静坐のときに抱いた思いを失ってはいけない。これもまた「敬」といえる。「敬」とは動静を一貫するものである

【一日一斎物語的解釈】
静の中に動を、動の中に静を意識することが肝要である。それを可能にするのは、慎みの心(=敬)である。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の善久君と前日の商談の反省会をしているようです。

「そこで、あのキーワードを使わなかったのか?」

「それが、あまりにも緊張してしまって、忘れてしまいました!」

「それは痛いな。あれがいわゆる殺し文句だったのに!」

「あとでしまったと思いました」

「緊張しすぎるというのは、準備が不足している証拠だからな。準備不足というのは、不安を呼ぶんだよ。『うまくいくかなぁ?』なんて思いながら説明して、うまくいくわけがない」

「はい」

「『よし、これなら喜んでもらえそうだぞ!』ってワクワクするくらいまで準備しないとな」

「そのレベルにはなっていませんでした・・・」

「まあ、時間も短かったから仕方がないけど、今後の反省点にしてくれよな」

「はい、来週もう一回説明するチャンスをもらったので、そこではワクワクしながらプレゼンできるように準備します」

「準備は静、プレゼンは動なんだ。準備中には常にプレゼン本番を想定していなければいけないし、逆に実際にプレゼンしているときは、準備中に考えていたことを冷静に思い出しながらプレゼンをする」

「はい」

「これが静の中に動を意識し、動の中に静を意識することなんだそうだ」

「熱意と冷静さを両方とも失わないってことですか?」

「おお、善久、すごいなぁ。たしかに、そういうことだ。やっぱりお前は地頭がいいよな」

「神坂課長に褒められると、めっちゃ嬉しいです! なんだか次の準備をすることにワクワクしてきました!」

「そうなれば、しめたものだ。ワクワクしながら準備すれば、ワクワクしながらプレゼンできるようになるさ。次回が楽しみだな」

「はい!!」


ひとりごと

中国古典の『菜根譚』の中に、「静中動在り、道中静在り」という言葉があります。

一斎先生はこの言葉を踏まえて、本日の章句を書かれたのでしょう。

活動するときは情熱をもって活動したいものですが、しかしその一方でどこかに冷静さを保っておく必要があります。

一方、熟慮するときは静かにひとりで行うべきですが、その際も情熱を失わないことが肝要です。

情熱と冷静さ、どちらもいつでも保ち続けていなければいけませんね。


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