今日のことば

【原文】
己の陰事は宜しく人の之を説くに任すべし。人の陰事は我れは則ち説く可からず。我れの為す所只だ是れ一誠なれば、則ち実に陰陽の別無きのみ。〔『言志耋録』第110条〕

意訳
自分の隠し事については、人が言うに任せておけばよい。しかし、他人の隠し事については話すべきではない。自分の行動はただ誠を貫くことにあるならば、隠すとか隠さないといった区別はあり得ない

一日一斎物語的解釈
自分に関する噂話など気にする必要はない。ただ、自らが他人の噂話をするようなことは避けるべきである。これが誠なのだ。


今日のストーリー

神坂課長が疲れ切った表情で帰社したようです。

「参ったよ。A大学病院の駐車場でK社の谷口さんと遭遇しちゃってさぁ」

「それは運の尽きですね」
石崎君が反応したようです。

「あの人は人の悪口とか陰口しか言わないからなぁ。それでいて、長い!」

「30分くらいですか?」

「あの人に会って30分で逃げられたら表彰されるよ。90分だよ、90分!!」

「ゲッ、それは最悪ですね」

「まあ、たしかに色々なことを知ってはいるんだよ。Y社の常務がとある女医さんと不倫関係にあるとか、F社の社長が突如解任されたとかいった情報をいち早くキャッチするからなぁ」

「すごい情報網ですね」

「それが仕事に活かせたら、あの人ももっと出世しているんだろうけどな。未だに主任さんだからな」

「50歳は超えてますよね?」

「とっくにな。しかし、あの人に会うと、自分も同じことをしているなと反省することができる点は、唯一のメリットだな」

「他人(ひと)の振りみて我が振り直せ、ってことですね」

「自分のことをとやかく言われることについては、言わせておけば良いんだけどさ。自分から他人の陰口や噂話をすることは慎まないとな」

「実は楽しいんですけどね・・・」

「いや、そうなんだよ。ついつい調子に乗っていろいろ言っちゃうんだけどさ、いざ客観的に聞く立場になってみると、そういうことをペラペラしゃべっている奴は薄っぺらく見えるもんなんだよな」

「たしかに。時々、課長が薄っぺらく見えるときがあります」

「やかましいわ! お前の場合は、上司に直接ふざけた事を言ってくるから、最悪だな」

「陰で言うより良いじゃないですか!」

「言い方というものもある。正しいことでも相手を傷つけるような言い方は慎むべきなんだ」

「それ、課長が言いますか?」

「うるせぇな、クソガキは! 俺だって、意識はしているんだぞ!」

「自分の部下に、『クソガキ』っていう上司もどうかと思いますけど」

「そうだな、お互いに言葉には気をつけようぜ」

「はい、課長の振り見て我が振りを直します」

「てめぇ!!」


ひとりごと

今日の章句は、ドキリとします。

小生も、ついつい他人の噂話や悪口を言ってしまうタイプの人間です。

自分は気持ちよく話しているつもりでも、実は周囲の人は冷ややかに見ているものなのでしょうね。

あらためて、気をつけます!


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