今日のことば

【原文】
事を処するには決断を要す。決断或いは軽遽(けいきょ)に失す。事を執るには謹厳を要す。謹厳或いは拘泥に失す。須らく自省すべし。〔『言志耋録』第112条〕

意訳
物事を処理するには決断力が必要である。しかし、決断を急ぐと軽率な判断をすることになりかねない。また物事を実行する際には謹厳さが必要である。しかし、謹厳さが過ぎると物事に拘り過ぎて失敗をすることもある。この点については、よく自省すべきである

一日一斎物語的解釈
仕事を進める上において、決断と謹厳さは、大変重要な要素である。しかし、それも度を超えれば、軽率な行動や物事への執着となり、仕事を進める上での弊害となる。何事も度を超さないように、常に自省することが重要である。


今日のストーリー

営業1課の新美課長が佐藤部長の部屋に居るようです。

「この案件を受けるべきか否かという点ですごく悩んでいるんです」

「たとえば、神坂君ならどう対応すると思う?」

「あの人なら確実に受けるでしょうね。大累さんも受けると思います

「それなのに新美君が迷っている理由は?」

「確実な成果を出せる自信が持てないことです。当社としては、前例のない取組みですし、現時点で確実に『できます』とは言い切れません」

「なるほどね」

「しかし、医療機器をメーカーさんから仕入れて、お客様に販売するという今のスタイルだけで、これから先生き残っていけるのかは不確定ですし、こういう仕事をやっていけたら、新しい道は開けるのかも知れません」

「リーダーの仕事は、決断することだよ。もちろん、リスク0%の仕事なんてあり得ない。しかし、リスク100%の仕事はやってはいけない」

「はい」

「問題はどこまでリスクを背負えるかだよね。新美君の判断を私は100%尊重するよ!」

「ありがとうございます!」

「決断は大胆にすべきだけれど、実行に際しては細心の注意が必要だよね。かといって、しっかりと決断の軸を持たずに軽率な判断をしてもいけない。また、いざやると決めた後は、あまりやり方に拘り過ぎないことも大切だよ。対応は臨機応変にすべきだろうね」

「清水さんは、この機会を逃して後で後悔したくない、と言っています。しかし、本当にやり切れるのか・・・」

その時、部長室に神坂課長が入ってきました。

「あ、なんだ、打合せ中ですか、では後で出直します」

「いや、いいよ。神坂君、清水君の持ち込んだ案件のことは聞いている?」

「あー、コンサルティングの話ですよね。なんだ、新美。まだ、ウジウジ悩んでいるのかよ!」

「そんなに簡単に決められないですよ」

「お前の課の仕事だからな。俺はあんまり口は出したくないけど・・・」

「神坂君はやるべきだと思う?」

「はい。こんな依頼を受けるなんて、信頼の証じゃないですか。それを断るなんて、私にはできないですねぇ」

「しかし、やり切れるという確信は持てないですよ」

「それはそうだよ。でも、あいつが何の成果も出せないということも考えづらくないか?」

「たしかに、医療コンサルの人とのコネクションも強い人ですからね」

「まあ、もう少し考えてみたら? ところで、部長。例の件ですが」

「決めた?」

「はい。お断りします。当社にとってのメリットが見えませんから」

「わかった!」

「へぇー、神坂さんでも断ることがあるんですね?」

「当たり前だろう。俺だって、それなりに頭は使っているんだ。俺を誰とでも寝る尻軽女みたいに言うな!」

「たとえが下品すぎますよ!」


ひとりごと

リーダーの仕事は決断することです。

部下が持ち込んだ案件に対して、ゴーサインを出すのか、ストップをかけるのか、孤独な決断を迫られます。

リスクをとって実行するとなっても、引き返す余力を見極めつつ、進めていくことも重要でしょう。

やり方を一つに決めず、臨機応変に変えていくことも忘れてはいけません。


wakaremichi_man