今日のことば

【原文】
人は須らく忙裏に閒(かん)を占め、苦中に楽を存する工夫を著くべし。〔『言志耋録』第113条〕

【意訳】
人は是非とも忙しい中にも安らぎを忘れず、苦しい時にも楽しみを忘れないようにすべきである。

【一日一斎物語的解釈】
人は忙中に閑を、苦中に楽を忘れないようにすべきだ。


今日のストーリー

「なんでこう毎日、毎日、やることが多いんだよ!」

営業2課の石崎君がご立腹のようです。

「少年、忙しいことは良いことじゃないか。世の中はCOVID19のせいで、仕事が出来なくて困っている人もたくさんいるんだぞ」

神坂課長がイジっているようです。

「中小企業にも働き方改革法案は適用されているんですよね? ここは完全にブラックだ!!」

「つまらないことを言ってないで、早く終わらせて帰れよ」

「終わらせたいですけど、まだ大量に伝票を書かないといけないんです」

「なあ、少年。実は忙しいからこそ、閑ができた時に喜びを感じるし、苦しいことを経験するから楽しいことを心から楽しめるものだぞ」

「は? 何を言ってるんですか?」

「平日が毎日閑だったら、土日に彼女とデートしても、意外と楽しめないものだぞ。逆に、クソがつくほど忙しい平日を乗り切って、土日に彼女と会うときは最高に楽しいものだよ」

「まあ、それはわかる気がします」

「9月は上半期の締めの月だから、どうしても忙しくなる。だからこそ、土日は彼女と目一杯楽しめばいいじゃないか」

「あの~、俺、今彼女いないんですけど・・・」

「え、マジで? お前、この前、彼女から結婚したいと言われたんじゃなかったか?」

「そうです。それが重くて、結局別れました」

「へぇ~、モテる男は違うねぇ」

「あー、それより腹が減ったなぁ。ラーメンが食いたい!!」

「あ、じゃあ、お邪魔だろうから、俺はそろそろ帰るな」

「そうしてください!」

「冷たい部下だぜ、まったく。じゃあ、お先に!」

「お疲れっす!」

それからしばらく石崎君と善久君の二人で残業をしていたようです。

「毎度、ウーパーイーティングです!」

「え? 俺たち、何も頼んでいないですよ」

「神坂さんという人から注文があって、ここにラーメンとチャーハンのセットを2つ届けてくれと言われました。もちろん、お支払いは済んでいます。石崎さんはどちらですか?」

「俺です」

「じゃあ、サインだけお願いします!」

石崎君がサインをして、配達員さんは帰ったようです。

「カミサマって、時々こうやって粋なことするんだよな」

「カッコいいところもあるよね?」

「うん、本人の前では言えないけど、あの人が上司じゃなかったら、俺はとっくにこの会社を辞めてるよ。では、冷めないうちに、いただきま~す!!」


ひとりごと

小生は読書好きですが、意外と時間が余っているときには読書をせずにダラダラと過ごしてしまい、忙しい合間の方が読書が進むことがあります。

また、人生を50年以上生きてきて、いろいろと辛い経験も積んできたからこそ、些細な幸せをかみしめることもできるようになりました。

忙中閑あり、苦中楽あり。

これは『後漢書』という古典の中にある、「六中観」と呼ばれるもののうちの2つです。

ちなみに、残りの4つは、死中活あり、壺中天あり、意中人あり、腹中書あり、です。

とても味わい深い言葉ですね。


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