今日のことば

【原文】
凡そ人事を区処するには、当に先ず其の結局の処を慮って、而る後に手を下すべし。楫(かじ)無きの舟は行(や)ること勿れ。的無きの箭(や)は発(はな)つ勿れ。〔『言志耋録』第114条〕

意訳
おおよそ世間の諸事を処理する上で、まず最初に結果を予測して、その後に実行すべきである。舵のない舟に乗ってはいけない。的の無い矢は放ってはいけない

一日一斎物語的解釈
何事もゴールを決めずに進めてはいけない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長、新美課長と飲んでいるようです。

神坂「しかし、大累とはよく喧嘩したよなぁ」

大累「神坂さんは、俺が人生で一番喧嘩をした人だと思います」

「光栄です」

新美「いや、神坂さん、それ褒められていないと思いますけど・・・」

「あれ、そう?」

「本当に二人の喧嘩って、最後はいつも、なぜ喧嘩を始めたのかがわからなくなるんですよね」

「そうそう。とにかく大累を言い負かしたいという思いだけが強くなる」

「そして、それがうまく行かないと、暴力に訴える!」

「お前だって、殴りかかってきたじゃないか!」

「そりゃあ、やられたらやり返すのが俺の流儀ですからね」

「最初は、お互いに会社のため、お客様のためを思って意見をぶつけたはずなんだけどな」

「いつの間にかゴールが会社とかお客様のためではなくなって、相手を打ち負かすことがゴールになる」

「そうですよ、途中で乗っている船の舵を捨てちゃう人たちですからねぇ。どこにたどり着くのか、まったくわからなくなる」

「うまいこと言うなぁ」

「違う言い方をするなら、的もないのに矢を放っている状態ですよ」

「新美、お前は例えの名人だな!」

「感心している場合じゃないですよ。毎回、周りのお客さんや店主に頭を下げるのは私の役目でしたからね!」

「何事も、ゴールを見失ってはいけないわけだな」

「会議なんかもそうですよね。会議の目的を忘れて、ただ好きなことを言い合う会議になりがちです」

「商談だってそうだ。お客様の課題解決を目指すはずが、競合会社が出てくると、いつの間にかそいつらに勝つことがゴールになってしまう」

「俺たちも少しは大人になったんですね」

「着実に成長しているんだな。よし、俺たち3人の成長に乾杯しよう!!

「気づくのが遅すぎる気もしますけど。それと、私を含めるの、やめてもらえませんかね・・・」


ひとりごと

何事も常にゴールを明確にイメージした上で取り掛かるべきです。

しかし、それでも途中でゴールを見失いかけることがあります。

ただ闇雲に突っ走った挙句、まったく想定外のゴールにたどり着いてしまう。

これでは漂着です。

仕事の結果が漂着にならないように、常にコンパスで方位を確認すべきですね。


compass