今日のことば
【原文】
凡そ人事を区処するには、当に先ず其の結局の処を慮って、而る後に手を下すべし。楫(かじ)無きの舟は行(や)ること勿れ。的無きの箭(や)は発(はな)つ勿れ。〔『言志耋録』第114条〕
【意訳】
おおよそ世間の諸事を処理する上で、まず最初に結果を予測して、その後に実行すべきである。舵のない舟に乗ってはいけない。的の無い矢は放ってはいけない。
【一日一斎物語的解釈】
何事もゴールを決めずに進めてはいけない。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、大累課長、新美課長と飲んでいるようです。
神坂「しかし、大累とはよく喧嘩したよなぁ」
大累「神坂さんは、俺が人生で一番喧嘩をした人だと思います」
神「光栄です」
新美「いや、神坂さん、それ褒められていないと思いますけど・・・」
神「あれ、そう?」
新「本当に二人の喧嘩って、最後はいつも、なぜ喧嘩を始めたのかがわからなくなるんですよね」
神「そうそう。とにかく大累を言い負かしたいという思いだけが強くなる」
大「そして、それがうまく行かないと、暴力に訴える!」
神「お前だって、殴りかかってきたじゃないか!」
大「そりゃあ、やられたらやり返すのが俺の流儀ですからね」
神「最初は、お互いに会社のため、お客様のためを思って意見をぶつけたはずなんだけどな」
大「いつの間にかゴールが会社とかお客様のためではなくなって、相手を打ち負かすことがゴールになる」
新「そうですよ、途中で乗っている船の舵を捨てちゃう人たちですからねぇ。どこにたどり着くのか、まったくわからなくなる」
神「うまいこと言うなぁ」
新「違う言い方をするなら、的もないのに矢を放っている状態ですよ」
神「新美、お前は例えの名人だな!」
新「感心している場合じゃないですよ。毎回、周りのお客さんや店主に頭を下げるのは私の役目でしたからね!」
神「何事も、ゴールを見失ってはいけないわけだな」
大「会議なんかもそうですよね。会議の目的を忘れて、ただ好きなことを言い合う会議になりがちです」
神「商談だってそうだ。お客様の課題解決を目指すはずが、競合会社が出てくると、いつの間にかそいつらに勝つことがゴールになってしまう」
大「俺たちも少しは大人になったんですね」
神「着実に成長しているんだな。よし、俺たち3人の成長に乾杯しよう!!
新「気づくのが遅すぎる気もしますけど。それと、私を含めるの、やめてもらえませんかね・・・」
ひとりごと
何事も常にゴールを明確にイメージした上で取り掛かるべきです。
しかし、それでも途中でゴールを見失いかけることがあります。
ただ闇雲に突っ走った挙句、まったく想定外のゴールにたどり着いてしまう。
これでは漂着です。
仕事の結果が漂着にならないように、常にコンパスで方位を確認すべきですね。