今日のことば

【原文】
世を渉るの道は得失の二字に在り。得可からざるを得ること勿れ。失う可からざるを失うこと勿れ。此の如きのみ。〔『言志耋録』第124条〕

【意訳】
世間を渡る道は得失の二字にある。得てはいけないものを得てはいけない。失ってはいけないものを失ってはいけない。これだけなのだ

【一日一斎物語的解釈】
人生で大切なことは、損得勘定から脱却し、得てはいけないものと失ってはいけないものを明確に弁別することである。


今日のストーリー

営業2課の石崎君が彼女と別れたようです。

「おい、少年。今日は久しぶりに飯でも食いに行くか?」

「課長の奢りですか?」

「当然だ!」

「ごちになりま~す」

二人は会社近くの居酒屋に入ったようです。

「思ったより元気で安心したよ」

「え?」

「彼女と別れたんだろ?」

「ゼンちゃんですね? (アイツ、マジで口が軽すぎるよ、よりによってカミサマに言うなんて!)」

「なに?」

「あ、いや、そうなんです。やっぱり3年は待てないというので、それならキッパリと別れようと」

「お前から告げたのか?」

「はい」

「カッコいいねぇ、やるじゃないか!」

「私だって落ち込んでいるんですよ。でも、まだ独身の内に経験したいこともたくさんあるし」

「風俗か?」

「課長と一緒にしないでください!! それに、別に風俗は結婚したって行けるじゃないですか?」

「まあな、これが意外と危険なんだけどよ」

「なんの話ですか? 私を慰めてくれるんじゃないんですか?」

「あ、そうだった。まあ、人生にはいろいろとあるもんだ。でもな、大事なのは、何を得てはいけないか、何を失ってはいけないかをハッキリさせることだ」

「どういうことですか?」

「つまり、今お前はカミさんをもらうべきかどうかってことだよ。決心がつかないのに結婚したってロクなことはないからな」

「そうですよね。私は20代は独身で過ごしたいんです。その間に自分の仕事の方向性をハッキリみつけたい。それが定まってから結婚したいんです」

「なんだお前、意外とちゃんと考えているんだな?」

「はい。まだ、この会社に長くいるかどうかも決め兼ねていますし」

「おいおい、そういうことを上司の前で言うか?」

「あ、そうでした。(笑) でも、課長」

「なんだ?」

「私が失ってはいけないものって何でしょうね?」

「お前、そんな大事なことに気がついていないのか?」

「え?」

「お前が失ってはいけない大切な人がいるだろう?」

「え、親ですか?」

「まあ、親もそうだけどさ。もう一人!」

「いや~、そんな人は居ないですよ」

「皆まで言わすなよ! 居るだろう、お前の目の前に! お前が失ってはいけない、最高の上司がさ!」

「・・・」


ひとりごと

得てはいけないものと失ってはいけないものをしっかりと弁別せよ、と一斎先生は言います。

得てはいけないものの代表は、あぶく銭でしょうか?

突然、大金が入れば、かえって身を持ち崩すのが凡人です。

また、失ってはいけないものの代表は、信頼でしょう。

お客様との信頼、仲間との信頼、こうした信頼を失えば、人として寂しい人生を歩まざるを得なくなります。


friends_hagemasu_man