今日のことば

【原文】
足るを知るを知って之れ足れば常に足る。仁に庶(ちか)し。恥無きを之れ恥ずれば恥無し。義に庶し。〔『言志耋録』第130条〕

【意訳】
『老子』第四十六章には「足るを知るの足るは、常に足る足ることを知って満足するならば、いつも不足や不満を感ずることは無い)」とあるが、これは仁に近いといえる。また『孟子』尽心章句上に「恥づること無きを之れ恥づれば、恥無し自分の恥とすべきことを恥じずにいることを、恥としてにくむのであるならば、恥は無くなる)」とあるが、これは義に近いといえよう。

【一日一斎物語的解釈】
今あるものに満足することは、仁の考え方に近い。また、恥ずべきことを恥ずかしく思うことは、義の考え方に近い。


今日のストーリー

神坂課長がネットニュースを見ているようです。

「おいおい、今度は竹村由子が自殺かよ? どうなっているんだ、芸能界は?」

「芸能界だけじゃないのかも知れませんよ」

「本田君、どういうこと?」

「いわゆるコロナ鬱ってやつは、今、日本中にはびこっているのかも知れません」

「あー、そういうことか。たしかに、そうかもな」

「それにしても、あれだけの美貌があって、人気・実力を兼ね備えた人に、いったいどんな不満や不安があったのかな?」

「トップにいる人には、トップにいる人にしかわからない悩みがあるんでしょうか?」

「そうなんだろうけどね。なんていうのかなぁ。今、手に入れているものを冷静に見つめ直して欲しいな。誰もが憧れるようなものをいくつも手にしているはずなんだよ。足るを知ることが、仁者への近道だと一斎先生も言っているんだ」

「そういうことが冷静に考えられないのが鬱という病気なんですよ」

「まあ、そうだねぇ」

「残された旦那さんやお子さんのことを思うといたたまれないですね」

「そこなんだよな。そういうことも考えられないほど、発作的に行動してしまうんだね。鬱は怖いなぁ」

「最近、立て続けに自殺のニュースが飛び込んでくるので、ちょっと麻痺していますけど、大女優さんですから、やっぱり衝撃は大きいですね」

「一般人が後追いするようなことにならないように、報道する側もしっかり考えて欲しいね」

「まったくです。面白おかしく報道するのは避けて欲しいです。自分の良心に問いかけて、恥ずかしくない報道をお願いしたいです」

「うん、それが義だよ。報道としての正しい道だよね。我々も仕事に自負をもって、正しい道を進まなければいけないね」

「なんか、気持ちが重くなりますね」

「とにかくご冥福をお祈りしよう。そして、俺たちは俺たちなりに、手にしているものに感謝し、満足して、自分の良心に恥じない行動を心がけよう!」

「はい。では、気を取り直して行ってきます!!」


ひとりごと

手にしていないものを欲しがるよりも、今手にしているものに満足する生き方が仁の道に通じるのだ、と一斎先生は言います。

100%満足できる人生なんてありません。

家康公のように、不自由を常と思うか、もしくは足るを知るか、いずれにしても現状を肯定的にとらえて生きて欲しいものです。


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