今日のことば
【原文】
朝にして食わざれば、則ち昼にして饑(う)え、少にして学ばざれば、則ち壮にして惑う。饑うる者は猶お忍ぶ可し。惑う者は奈何(いかん)ともす可からず。〔『言志耋録』第140条〕
【意訳】
朝食を取らなければ昼には空腹を感じ、若い時に勉強しないと壮年になってから迷いが生まれる。空腹は耐えることができるが、壮年にして迷うような人はどうしようもない。
【一日一斎物語的解釈】
若いときにしっかりと学んでおかなければ、働き盛りとなったときに大きな後悔をすることになる。
今日のストーリー
営業2課の梅田君が定時で帰るようです。
「おつかれ! 梅田、遊んでばかりいないで、ちゃんと本も読めよ!」
「あ、課長。あの今日はデートなので・・・」
「わかってるよ。本を読む時間も作れよ、ってことだよ」
「はい。明日は読みます。では、失礼します!」
「梅ちゃん、新しい彼女ができたらしいんです」
石崎君が教えてくれました。
「また、彼女を変えたのかよ。あいつ、なんでそんなにモテるんだ?」
「課長みたいに、女性に毒を吐かないからじゃないですか?」
「やかましいわ!」
「課長、やっぱり読書は大切ですか?」
「若いお前たちにとっては、彼女とデートをすることと同じくらい大切だよ!」
「そんなに!?」
「俺は若い頃に本を読んでこなかったから、今になってめちゃくちゃ苦労している。もっと読んでおけばよかったと心から思ってるよ」
「今は本を読まなくても普通に仕事はできるんですけどね」
「それが40代になって、マネージャーの肩書がつくと、そうはいかないんだよ。自分の経験だけでは補えないことがたくさん出てくる」
「そうなんですか?」
「それに俺が若い頃は、毎晩遅くまで残業していたから、家に帰って本を読む時間なんてほどんどなかった。しかし、今は働き方改革で残業が出来なくなった。つまり、早く帰宅できるわけだ。だから、本を読む時間もたっぷりある。これからは定時後の時間をどう活用するかでかなり差がつくぞ」
「ガンちゃん(営業1課の願海君)は、毎日本を読んでいます」
「そのうち、お前は願海の部下になるかもな」
「ガンちゃんならOKです」
「バカ野郎、そういう問題か!」
「今日の夜はデートもないし、ひとりで居酒屋にでも行こうかと思ったけど、本屋さんによってみようかな」
「お、いいな。俺も本屋に行こうかな。で、その後は「ちさと」に行こうかと思ってるんだけど・・・」
「そちらもご一緒します!!」
「お前は間違いなく願海の部下になるな。(笑)」
ひとりごと
別の章で一斎先生は、「少にして学べば、則ち壮にして為すことあり」と言っています。
つまり、若い時に学んでおくと、働き盛りの世代になったときに立派な仕事ができる、と。
ここでは、少にして学ばなければ、働き盛りのときになって迷う、と逆説的に述べています。
いずれにしても、若い時こそ、そして今のように自習の時間がたくさんある時代こそ、読書が大切なのではないでしょうか?