今日のことば
【原文】
凡そ人、頼む所有りて、而る後大業規(はか)る可きなり。我れ守る所有りて、而る後外議起こらざるなり。若し其れ妄作(もうさく)、私智(しち)は罪を招く所以なり。〔『言志耋録』第145条〕
【意訳】
概して人は自ら頼むところがあって、その後に大きな仕事を企画すべきである。また人は信念を持って事をなせば、後に周囲から雑音が起ることもない。もしみだりに自分勝手な打算を働かせると、禍を招くことになるであろう。
【所感】
世の中の益となるような公の精神で仕事をすれば間違いはないが、私欲を満たすような行動をとれば、禍が降りかかるであろう。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、営業2課の善久君と同行しているようです。
「あれ、課長。ここ、今日はやけに空いてませんか? 取り締まりでもやってるんじゃないかなぁ」
「大丈夫だろう。今までここに停めて捕まったことはないぜ」
「そうですかねぇ・・・」
二人は駅前のロータリーに車を駐車して、駅前にあるホテルの展示会に参加したようです。
「いやぁ、結構勉強になりました」
「面白い展示会だったな。しかし、営業ツールもあそこまで進化しているんだなぁ。もう、おっさんにはついて行けないよ」
「そんなこと言わずに、ぜひウチの会社にも導入してくださいね! あ!!」
「どうした?」
「駐禁の紙が貼られています・・・」
「あらら」
「やっぱり、今日はおかしいなと思ったんですよ。課長が大丈夫だって言うから・・・」
「言ったっけ?」
「ひどい! 課長は人間の屑です!」
「お前、上司に向かってよくそこまでの悪口が言えるな」
「罰金いくらだろう?」
「悪かったよ。確かに俺が大丈夫だと言ったからな。罰金は俺が払うからさ」
「あー、ゴールド免許が遠ざかっていく!」
「そこは勘弁してくれ!」
「自分の勘を信じればよかった!」
「そういえば、一斎先生もそんなことを言っていたな。『自分の信念をもって仕事をすれば周囲の雑音は気にならない』ってな」
「今頃それを言われても・・・」
「それに、『楽をしようとか、得をしようなんて考えて行動すると、痛い目に遭う』とも言っていた」
「もう、十分痛い目に遭いましたよ」
「こりゃ、当分言われそうだな」
「一生、怨みます」
「大げさじゃない?」
「・・・」
善久君は無言で神坂課長を睨んでいます。
「さ、さあ、善久君。お昼ご飯でも食べないか? もちろん、俺が奢るから、何でも好きなものを食べなさい」
「・・・」
「・・・」
ひとりごと
このストーリーは、実話です。
小生が広島に居たころ、上司と同行して駅前ロータリーに駐車したところ、駐禁を取られてしまいました。
上司との雰囲気が気まずくなったのは言うまでもありません。
上司に文句が言えなかった小生は、切符を切った警察官に散々文句を言ったことを覚えています・・・。