今日のことば

【原文】
常人の栄辱有り。達人の栄辱有り。常人の栄辱は、達人未だ嘗て以て栄辱と為さず。達人の栄辱は、常人其の栄辱たるを知らず。〔『言志耋録』第153条〕

意訳
一般の人にとっての栄誉と恥辱というものと、道を究めた人にとっての栄誉と恥辱というものがある。一般の人にとっての栄誉と恥辱は、道を究めた人からみれば栄誉や恥辱だとみなさない。道を究めた人の栄誉と恥辱は、一般の人からみれば栄誉や恥辱などと思ってもみないものだ

一日一斎物語的解釈
平凡なビジネスマンと実績を上げ続けるビジネスマンでは、目指すべき姿が違っている。自分一個にこだわることなく、幅広い視野をもって仕事をすべきである。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業1課の清水さんと喫茶コーナーにいるようです。

「おっさん、やっぱりCOVID-19の影響はデカいな」

「なんて言うのか、物を納めるだけのディーラーの限界を感じるよな」

「この先どうしていけばいいんだ?」

「それが分かれば苦労しないぜ。ただな、モノ売りという発想からは脱却すべきだろうな」

「俺は会社でトップを取ることだけを目標にやってきた。それじゃダメだってことか?」

「ダメだな」

「ちっ、ほとんどトップを取ったことのない奴から言われたくねぇよ!」

「バカやろう、別にひがんで言ってるわけじゃねぇぞ」

「じゃあ、もう少し分かりやすく教えてくれよ」

「あのな、先輩に対する口の利き方もそろそろ考えた方がいいぞ」

「いまさら直せねぇって言ってるじゃねぇか。『神坂さん』って呼ぶのか? 勘弁してくれよ」

「そう言わずに、おいおい直せよ。それで、質問の答えだけどな。病院が一番望んでいることは何だと思う?」

「簡単な質問だな。集患だろ?」

「おぉ、さすがだな。患者が増えれば、収益が増える。それも、できることなら重症者を増やしたいはずだ」

「重症者の方が儲かるからか?」

「露骨には言いづらいことだが、実際はそういうことだろう」

「しかし、俺たちディーラーが、患者を増やすことに貢献できるものか?」

「そこは、わからない。ただし、モノを提供するだけでは、限界があるのは事実だ。もっと病院の経営に目を向けないとな」

「自分の売上が増えて悦ぶのではなく、担当病院の患者が増えて悦ぶべきだってことだな」

「そういうことだ。逆にいえば、担当病院の集患ができれば、自然と自分の数字も増えるはずだろ?」

「たしかにな。俺も集患に関して、何かコンサルティングができないものかと考えていたんだ」

「佐藤部長やサイさんのような社内の優れた人もそうだけど、社外にも素晴らしい人脈をもつようになって、俺の視野もようやく広がってきたよ」

「人脈か、大事なことだな」

「そういう立派な人たちは、当時の俺が成功だと思っていることについては、全然興味がないんだ。つまり、自分自身の損得勘定では動かないんだよ」

「まるで俺のことだな」

「ははは。当時の俺も同じさ。あの人たちがどこに目を向けているかといえば、病院の集患とか、地域連携とか、救急車の受け入れといったことだ」

「俺たちからしたら何のこと?って思うようなことだな」

「しかし、俺たちディーラーもそこに目を向けていくべきときに来ているのかもな。COVIDー19はそれを教えてくれている気がしてならない」

「俺もぼんやりとだけど、そんな危機感を感じるようになったよ」

「幸い俺たちは、何人かの院長先生や教授に可愛がってもらっている。あの人たちと今みたいなことについてたくさん話をするしかないな」

「うん。そこから、俺たちにできることを探してみたいな」

「そういう仕事ができるようになったら、会社のトップは安泰だぞ」

「バカだな、おっさん。そういうレベルになったら、もうトップであるかどうかなんて関係なくなるんじゃないのかよ!」

「そうだった!!」


ひとりごと

成功者と凡事の違いは、志の大きさの違いだ、一斎先生はそう教えてくれているのでしょう。

私欲に勝る公欲をもって、仕事を進めていくことができれば、そういうレベルに近づけるはずです。

お客様が求めているもの、あるべき姿と描いているものに近づけるお手伝いができれば、それほど素晴らしいことはありませんね。


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