今日のことば

【原文】
必ずしも福を干めず。禍無きを以て福と為す。必ずしも栄を希(こいねが)わず。辱無きを以て栄と為す。必ずしも寿を祈らず。夭せざるを以て寿と為す。必ずしも富を求めず。餧えざるを以て富と為す。〔『言志耋録』第154条〕

【意訳】
必ずしも幸福を求めず、ただ禍がないことをもって幸福とする。必ずしも栄誉を願わず、ただ恥辱を受けないことをもって栄誉とする。必ずしも長寿を祈らず、早世しないことをもって長生きとする。必ずしも富を求めず、飢えないことをもって富とする。このような考え方でよい

【一日一斎物語的解釈】
たとえプラス面がなくとも、マイナス面がなければ良しとする。これが足るを知ることである。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長と一緒に最寄り駅まで歩いているようです。

「♪なんでもないようなことが、幸せだったと思う~♪」

「古い歌を歌ってますねぇ」

「いや、この歌詞は真理を突いてるじゃないか。みんな幸せになりたいと思っているけど、不幸でないなら幸せなんだよ」

「どうしたんですか、急に」

「ちゃんと仕事があって、素晴らしい上司に恵まれ、優秀な部下を持ち、そしてお前のような可愛い後輩もいる。これって幸せなことだよな」

「神坂さん、死ぬんですか?」

「縁起の悪いことを言うなよ! 純粋にそう思う今日この頃なのさ」

「たしかにそうかも知れませんね」

「それにだ。有名になりたいと思っていても、いざ有名になったらなにかと大変だろう。長生きしたいと思っても、いざ長生きしたら、それは大概病気と闘いながら生きていくことになる」

「そうですね。金持ちになりたいと思いますけど、金があったらあったで、金の猛者になりかねませんしね」

「要するに、みんなプラスアルファを求めるんだけど、マイナスがないならそれで良しとすべきなんだよな。それが『足るを知る』ってことなんだと思う」

「現状に満足した方がいいですね」

「そういうことだよ」

「俺も、神坂さんみたいな頼れる兄貴みたいな先輩にめぐり会えて幸せですよ」

「そう思ってくれるか? あれ?」
大累課長はニコニコしながら、赤い暖簾を見ています。

「そういうことかよ! わかったよ、軽く一杯だぞ」

「さすが阿吽の呼吸!!」

「ちっ、でもお前のそういうところが可愛いんだよな」


ひとりごと

吾々人間は、往々にして今よりお金が欲しい、今より高い地位が欲しい、今より長生きしたい、今より幸せになりたいと思いがちです。

しかし、果たして現状は本当に不満な状態でしょうか?

実は、こうして日々生活ができているなら、もう十分に幸せなのではないでしょうか?


そんなことを深く考えさせられた章句です。


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