今日のことば

【原文】
「老成人を侮ること無かれ、孤有幼(こゆうよう)を弱しとすること無かれ」とは、真に是れ盤庚(ばんこう)の明戒なり。今の才人往往此の訓(おしえ)を侵す。警む可きなり。〔『言志耋録』第158条〕

【意訳】
『書経』盤庚上篇に「老成人を侮ること無かれ、孤有幼を弱しとすること無かれ世の中の経験を積んで成熟したお年寄りを馬鹿にしてはいけない。また、孤児や幼児を弱いからといって見くびってはいけない)」とあるが、これは実に盤庚の箴言である。近頃の知恵のある人はしばしばこの教えを犯している。警めるべきことである。

【一日一斎物語的解釈】
社会的弱者と言われる人達に対して、侮るような発言や行動は厳に慎むべきだ。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の石崎君と同行中のようです。

「課長、すみませんでした。レジの前に並んでいたジジイが、小銭入れか一円玉をたくさん出して支払っていたので、遅くなりました。もう勘弁してほしいですよ!」

「石崎、そういう見方は気をつけた方がいいぞ」

「え?」

誰だって年をとれば、目も悪くなるし、動きも鈍くなる。でも、そのお爺さんもかつては俺たちお同じようにバリバリ働く営業マンだったかもしれないぞ」

「そうかも知れないですけど、やっぱり遅すぎますよ」

「そこで急いだって、たかが2~3分だろ。そんな時間をケチるより、やさしくお爺さんを見守ってあげるか、もっと積極的に一緒にお金を数えてあげるくらいのことをしても良いんじゃないのかなぁ」

「まあ、たしかに自分の爺ちゃんだったら、そうするでしょうね」

「お前のお爺さんがそうだったように、きっとそのお爺さんも、この日本を創ってきた大功労者のひとりなんだと思う。今を見るんじゃなくて、そういう人の過去を想像すると、イライラする気持ちもスーッとなくなるもんだぜ」

「はぁ」

「社会的弱者と言われる人たちも、俺たちと同じ人間だ。馬鹿にするような発言や行動をしてはいけないと思わないか?」

「それは、そうですね。でも、課長がそういうことを言うとは意外です。どっちかというとイライラするタイプだと思っていました」

「ピンポーン。大正解! 実は、俺もそういうタイプだよ。でさ、そんな話を佐藤部長にしたら、今俺が話したことを言われたわけさ」

「なんだ、そういうことですか! やっぱりなぁ」

「おいおい、そこで感心するなよ。俺は部長からそう言われて、ガーンと来た。それ以来、そういう場面ではお手伝いをしてあげることにしたんだ」

「私もそうします。なんか、さっきのお爺ちゃんが心配になってきたなぁ。震える手でメモを見ながら、なにか買い忘れたとか言ってたんです」

「ちゃんと買えたかな?」

「ちょっと見てきます!」


ひとりごと

高齢者ドライバーの後ろについた時なども、あまりのスローな運転にイライラしてしまうことがあります。

しかし、いつかは自分もそういう年齢に達し、思うように行動できない時がきます。

だからこそ、その人の今ではなく、過去を思い、感謝の気持ちで接してあげることが必要なのでしょう。


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