今日のことば
【原文】
人を訓戒する時、話は簡明なるを要し、切当なるを要す。疾言すること勿れ。詈辱(りじょく)すること勿れ。〔『言志耋録』第160条〕
【意訳】
人を指導する際には、話は簡潔かつ明瞭にすべきであり、なおかつ核心をつくようにすべきである。一気にまくし立てて、罵るようなことはしてはならない。
【一日一斎物語的解釈】
お説教は長々とするものではなく、簡潔に核心を突く話をすべきである。決して、声を荒げてはいけない。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、ちょっと落ち込んでいるようです。
「あれ、神坂さん。どうしたんですか? 珍しく凹んでませんか?」
大累課長が茶化しています。
「うるせぇ。『珍しく』は余計だ!」
「でも、元気なさそうに見えますよ、珍しく」
「てめぇ、殴られたいのか?!」
「すぐそうやって声を荒げるところが、神坂さんのダメなところですね」
「そ、それだよ。さっきもつい石崎を怒鳴りつけてしまってさ。今、反省しているわけさ」
「あー、そういうことですか。神坂さんでも反省することはあるんですね」
「最近は、毎朝、『言志四録』を一章ずつ読んでから家を出ているんだけどな。今日の言葉は、『人を戒めるときは、簡潔明瞭に、一気にまくし立てず、罵ることのないように』ってやつだったんだよ」
「それを読んだ日にブチ切れですか? それはダメでしょう!」
「そうなんだよな。最初はそのつもりでいたんだけどさ。あいつが、自分に矢印を向けずに、他人のせいにばかりしているのを聞いているうちに、つい・・・」
「気持ちはわかりますけどね。俺もさっきまで雑賀とバトルしてましたから」
「平常心を保つというのは、なかなか大変だよな」
「お互い、クセの強い部下を持っていますからね」
「しかし、それを言うなら、お前とか俺を部下に持つ佐藤部長が一番大変かもな」
「あ、それは間違いないですね!」
「同意している場合かよ。俺たちみたいな輩を相手にしても、サイさんとか佐藤部長は全然キレないだろ、あれって凄いことだよな」
「まったくです。もっと学ばないといけませんね」
「あれ、お前にしては珍しく謙虚だな」
「『珍しく』は余計ですよ!!」
ひとりごと
昨日に引き続きこれもまた耳の痛い章句です。
小生のかつてのマネジメントスタイルは、完全に恫喝タイプでした。
しかし、これではこちらの意図は伝わりません。
そもそも脅しでメンバーを管理するリーダーというのは、自分に自信がないことを露呈しているものです。
簡潔明瞭、冷静かつ温和な口調で語りなさいと、一斎先生は教えてくれています。
若き日に戻りたい!