今日のことば

【原文】
執拗は凝定(ぎょうてい)に似たり。軽遽は敏捷に似たり。多言は博識に似たり。浮薄は才慧(さいけい)に似たり。人の似たる者を視て、以て己を反省すれば可なり。〔『言志耋録』第178条〕

【意訳】
しつこいと信念が固いように見える。かるはずみだと敏捷なように見える。口数が多いと博識に思える。うわすべりで軽薄だと才智がすぐれているように感じる。一見思い違いをするような人の性質を視て、自分に矢印を向けて反省できれば、それは良いことである

【一日一斎物語的解釈】
一見すると、優れている様に思える性質をもつ人の言動や行動をみて、ただ嘲笑するだけでなく、自分も同じことをしていないかを反省することができれば、そこに意味はある。


今日のストーリー

営業部特販課の藤倉君が先輩の雑賀さんと同行しているようです。

「Y社の糸井さんって、なんでも知っていますよね。あれだけの知識があるということは、相当なやり手なんでしょうね?」

「藤倉、あの人に騙されるなよ」

「え?」

「糸井さんは、だいたい競合他社の若手を捕まえてはああやって知識をひけらかすのがルーチンなんだよ」

「でも実際に、すごい知識だと思うんですけど・・・」

「だいたいみんな、そうやって騙されるんだよ。きっとあの人はスーパー営業マンなんだろうってな」

「違うんですか?」

「あの人は会社のお荷物と呼ばれている人だよ。今は営業の第一線からは外されて、サービスをやってるんだ」

「えーっ、そうなんですか!」

「たしかに製品知識はそこそこあるよ。でもな、対人折衝が下手すぎる。上から物を言うから、すぐにドクターを怒らせてしまうんだな」

「あぁ、そうなんですね」

「それに製品知識にしても、ひと昔前までのものなんだよ。いわゆるIT関係はまったくわかっていないしな」

「ダメじゃないですか!」

「そう。だからってバカにしているだけじゃ意味がない。俺はああいう人を反面教師にして、同じようなことをしないように気を引き締めているんだ」

「雑賀さん、凄いですね。そういうことからも学ばれているんですね!」

「アンテナさえ張っておけば、どんなことからも学べるものだよ。大累課長からだって、いろいろ学ばせてもらってるよ」

「え、大累課長も反面教師ですか?」

「そうだな。ウチは反面教師の宝庫さ。ルイルイだけじゃなくて、カミサマもいるからな」

「そんなことを言ったら怒られますよ!」

「いまここに居ないんだから、大丈夫だよ」

「そうですかねぇ・・・」

このとき藤倉君は、自分はぜったいに雑賀さんのように陰で人の悪口を言うのはやめようと誓ったのでした。




ひとりごと



性格というものは、長所であっても行き過ぎれば短所になってしまいます。


また、短所を長所のように見せかけるのが上手な人もいます。


そういう人に出会ったら、その人を馬鹿にするのではなく、自分も同じことをしていないかを反省するよいきっかけとすべきです。


恐らく自分の中にも同じような傾向があるかも知れませんからね。


kageguchi_uwasa