今日のことば
【原文】
史学も亦通暁せざる可からず。経の史に於けるは猶お律に案断有るがごとし。推して之を言えば、事を記するものは皆之を史と謂う可し。易は天道を記し、書は政事を記し、詩は性情を記し、礼は交際を記す。春秋は則ち言うを待たざるのみ。〔『言志耋録』第221条〕
【意訳】
歴史もまた広く理解しておくべきである。経書と歴史との関係は、法律と判例との関係のようなものである。さらに推し広げて言えば、出来事を記録したものはすべて歴史と言うことができる。『易経』は天地の移り変わりを記し、『書経』は政治を記録し、『詩経』は人の性質や感情について記録し、『礼記』は人との交際を記している。『春秋』については言うまでもないことである。
【一日一斎物語的解釈】
歴史は先人が行動した実例であり、結果である。経書に照らして歴史書を読むべきだ。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、総務部の西村部長、営業部の佐藤部長と3人で今年最後の寺社巡りをしているようです。
西村「本来なら泊りで来たかったけど、今年は仕方ないね」
佐藤「3人なのに、車2台で動くのも初めてですね」
西「だからこうしてビールを飲めるのは俺だけだな。ははは」
神坂「『ははは』じゃないですよ。普通は運転手に遠慮して飲まないでしょ!」
西「神坂君、車にガソリンを入れなければ走らないだろう?」
神「それはそうですよ」
西「俺のガソリンは酒だからね。酒を飲まないと動けないんだよ」
神「何を言ってるのかわかりません」
西「お、あれは歴女っていわれる女の子たちだな。最近はああいう子たちが増えたね」
佐「ここは光秀の菩提寺ですからね」
神「あ、西教寺って、明智光秀の菩提寺なんですか?」
西「君はそんなことも知らずについてきたのか?」
神「歴史は苦手でして・・・」
西「歴史は勉強すべきだぞ。仕事に役立つことも多い」
神「私は『論語』とか『言志四録』といった古典の方が好きです」
佐「一斎先生は、どちらも大事だと言っているよね?」
神「え、そうでしたっけ?」
佐「うん。『経書と歴史は、法律と判例のようなものだ』とね」
西「それは見事な喩えだね。たしかに、法律ばかり勉強しても、実際の判例を学ばなければ、法律家にはなれないだろうなぁ」
佐「おっしゃるとおりです。要するに、経書に照らして、歴史書を読むと良いということです。歴史上の出来事を経書に照らして読めば、うまく行かなかったことは経書に反していて、首尾よくいったことは経書に書かれているとおり、ということは多いでしょうね」
神「おぉ、そういうことですか」
西「神坂君、今年の年末年始は歴史書を読みなさい」
神「歴史かぁ。やっと古典アレルギーを脱出できたと思ったら、次は歴史アレルギーの治療が始まるんですねぇ・・・」
西「ははは。大袈裟な奴だな。さぁ、光秀の墓にお参りしたら、帰途につこうじゃないか!」
ひとりごと