今日のことば
【原文】
世の武技を為す者、玅処(みょうしょ)必ず之を禅理に帰して、而して之を吾が儒に求むることを知らず。試みに思え、郷党の一篇、聖人の俯仰進退、一動一静、節に中(あた)らざる莫き。即ち是れ天来絶妙の処。文武真に二致無し。〔『言志耋録』第238条〕
【意訳】
武芸で身を立てる者は、精神面では必ず禅の悟りに求めて、わが儒学に求めることをしない。ぜひ考えて欲しい、『論語』郷党篇における聖人孔子の立ち居振る舞いや一挙手一投足は、すべて理に適っていないものはない。つまりこれが天から与えられたものなのだ。文武は別に二つの道があるのではなく、同じひとつの道なのだ。
【一日一斎物語的解釈】
スポーツも仕事も、結果を残す秘訣は、「理に適う」という一点にある。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、大累課長と食事中のようです。
「緊急事態宣言が出た割には、この定食屋さんは混んでいるな」
「飯を食わなきゃ生きていけないですからね。神坂さんも私も愛妻弁当なんて作ってもらえるわけもなし」
「一緒にするなよ。ウチは・・・」
「神坂家は?」
「無理だな。(笑)」
「でしょ。(笑)」
「そういえば、昨日は息子のテニスの試合を観て来たんだけどな。スポーツも営業も基本は同じだということに気づかされたよ」
「わかる気がします」
「うん。どれだけ技術が高くても、精神的に追い込まれると実力の半分も発揮できないものだよな」
「ええ。それと同じであんまり部下を追い込むと、真っ当な営業をしなくなりますよね」
「そこだよ。放任のマネジメントはダメだと思うけど、追い込み型のマネジメントだと、今の時代はパワハラだと言われかねないからなぁ」
「人の上に立つのが難しい時代になりましたね」
「結局は理に適った行動をするのが一番だということだな」
「しかし、その理に適うというのが難しいのでは?」
「そうだな。ただ、スポーツにも営業にも共通することに礼儀がある。礼儀を弁えないスポーツ選手は大成しないし、営業マンも同じだろう」
「なるほどね」
「あとは極端に走らない。いわゆる中庸を心掛けるってことだろう」
「なんだか、佐藤部長と話しているみたいな気がしてきました」
「お、俺も少しは部長に近づいたかな?」
「言っている内容は近づいていますが、肚落ち度が低いんだよなぁ」
「なんでだよ!」
「やっぱりこれまで歩んできた道が違うからじゃないですか」
「やかましいわ! 人はいくつになっても変われるんだ。いつまでも昔の俺だと思うなよ」
「昔の俺のイメージが強すぎるんですよ」
「理に適って生きれば、きっと周囲も変わってくると信じる!!」
ひとりごと
仕事もスポーツも武道も理に適ったやり方をすれば、良い結果が得られるのだと一斎先生は言います。
理に適うとは、以下のようなことだととらえておきます。
① 礼儀正しい
② 謙虚である
③ 中庸を心掛ける
こう記載してみて、小生自身はどれも中途半端であることに気づかされました・・・。