今日のことば

【原文】
水火は霊物なり。民、水火に非ざれば則ち生活せず。水火又能く人を焚溺す。天地生殺の権、全く水火に在り。〔『言志耋録』第244条〕

【意訳】
水と火とは霊妙なものである。人々は水と火がなければ生活すらできない。しかし水と火は人を焼死させたり、溺死させたりもする。天地の生殺の権限は水と火にあるのだ

【一日一斎物語的解釈】
水や火といった自然界のものを活用しなければ人は生きられない。しかし、活用を誤れば命の危険すらある。やはり人は自然界の中で生かされているのだ。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、佐藤部長の部屋にいるようです。

「昨日、ウチの近くで火事がありまして、老夫婦が亡くなるという痛ましい出来事があったんです」

「寒くなってきたからねぇ。ストーブの火が何かに燃え移ったのかな?」

「そうみたいです。ストーブの周辺が特に燃えていたらしいので」

「老夫婦だと、咄嗟に逃げることもできなかったんだろうね」

「はい。あそこのおばあちゃんは足が悪かったですからね。おじいちゃんもおばあちゃんを置いて逃げるわけには行かなかったのではないかと・・・」

「哀しい出来事だね」

「ちょっと暗くなりますね。天寿を全うできずに、焼死してしまうなんて。きっと熱かっただろうなぁ」

「我々人間は、火や水がなければ生きていけない。でも、時にはその火や水が命を脅かすこともある」

「はい。自然界にあるものは、すべてそうなのかも知れません。人間はそれを利用しているつもりでも、実は自然界の中で生かされているだけなのではないでしょうか?」

「人間は万物の霊長ではあっても、所詮自然界の中ではちっぽけな存在なのかもね」

「亡くなった老夫婦とは直接の面識はなくて、たまに道ですれ違った時に挨拶をする程度だったのですが、今晩お通夜があるそうなので、早退して参列してきます」

「うん。是非そうしてください」

「独り暮らしや老々介護の世帯が増えているので、冬はこうした事故をいかに無くしていくか。近隣住民ができることは、もっとあるかも知れませんね」

「考えさせられるね。かくいう私も、あと数年で還暦となり、高齢者の仲間入りだからね」

「まずは、私たちが自然界と上手にお付き合いしていきましょう」

「そうだね」

「では、お先に失礼します」

「お疲れ様!」


ひとりごと

山火事、洪水、津波などなど、大自然は時に猛威を振るいます。

犠牲になる方が必ずしも加害者であるわけではなく、時に大自然は人間に対し牙を向けて襲い掛かるのです。

自然の恵みに感謝しつつ、火や水の扱いには慎重の上にも慎重を期すべきだということでしょう。


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