今日のことば

【原文】
郡官たる者は、百姓(ひゃくせい)を視ること児孫の如く、父老を視ること兄弟の如く、鰥寡(かんか)を視ることなく家人の如く、傍隣の郡県を視ること族属婚友の如く、己は則ち勤倹を以て之を率い、耑(もっぱ)ら臥治(がじ)を以て旨と為せば可なり。〔『言志耋録』第274条〕

【訳文】
組織のリーダーは、部下である社員さんに対しては子供や孫を育てるように接し、自分より目上の社員さんには兄弟のように接し、特にベテランかつ独身の社員さんに対しては家族のように労わり、隣の組織に対しては親族か友人のように接する。その上で、リーダー自身は自分が目立たないように心掛けてメンバーの背中を押し、マネジメントについては、なるべくシンプルにすることを心掛けるのが良い

【一日一斎物語的解釈】
組織のトップに立つ人は、社員を家族のように扱い、隣の組織を親戚のように扱うことで人間関係を円滑にすることを意識せよ。その上で、自らはあまり前に出ず、裏方に回って全体を動かすことを意識すると良い。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、昨日に引き続き社長室に居るようです。

「平社長はいつも家族経営ということを言われていますが、本来は他人同士の組織を家族のように考え、実際に行動するのはとても難しいことですよね?」

「それはそうさ。だからこそ、やる価値があるんだよ。もし、それが実現できれば、離職者ももっと減るし、みんなが幸せになれると思わないか?」

「たしかにそうですね。家族であるなら、縁を切ることはないですもんね」

「昔は勘当なんてものもあったし、今でも家出をする子供はあるけど、家族であれば絆はずっとつながっているはずだ」

「はい」

「たとえば、お前が所属するのは営業部だろう。お前からみて総務部は親戚だと思えばいい」

「あぁ、そうか。西村さんやタケさんは親戚か」

「そう考えて仲よくやってくれ」

「元々仲は悪くないですよ。(笑) ところで、社長御自身のことは、どういうスタンスが良いと考えているのですか?」

「一家の大黒柱だな。いいか、神坂。大黒柱というものは外からは見えないだろう?」

「はい、そうですね」

「外からは見えないが、もし大黒柱が折れれば家は傾くか倒壊してしまう。俺はそういう存在でありたいと思っている」

「つまり、あまり表には出ないということですか?」

「そうだな。会社によっては社長自らが広告塔になっているところもある。トヨタなんかはそうだろうな」

「そうですね。最近のトヨタのCMは、社長自ら語る感じのものが多いですね」

「あれがダメだとは言わないが、俺の性には合わないな」

「背後で私たちの背中を押してくれているイメージですね」

「ははは。そう思ってくれたら、俺は嬉しいよ」

「私自身、できれば問題解決を自分でやりたいと考えていますが、本当に困ったら佐藤部長に相談します。そして、佐藤部長が本当に困ったときは、平社長に相談しているんですね」

「どうかな? 俺が今話したことは、俺の理想だからな。まだまだ、不完全なところが多い」

「そうですか。でも、俺はこんな良い会社はないと思っていますよ」

「そう思ってくれるか?」

「はい。ここに入社できて本当に良かったです。だから、後輩たちにも同じように思ってもらえるように、私も馬鹿な頭をフル回転して頑張ります!」

「頼むぞ!!」


ひとりごと

本章は、家族的経営・マネジメントについての章句だと理解しています。

しかし、家族主義経営どころか、実際の家族や親族間でも疎遠となっているのが現状でしょうか?

修身・斉家・治国・平天下ですから、まずは実際の家を整えるのが先なのかも知れません。


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