今日のことば

【原文】
治国の著眼の処は、好悪を達するに在り。〔『言志耋録』第278条〕

【訳文】
国を治める上で重要な点は、民の好むことをさせ、憎むことをさせないことにある。

【所感】
マネジメントの要諦は、社員さんの好むことを行わせ、好まないことは行わせないことにある。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、佐藤部長の部屋に居るようです。

「『言志四録』を読んでいたら、『政治の要諦は、民の好きなことをさせ、嫌なことをさせないことだとありました。マネジメントもそれで良いのでしょうか?」

「好きなことだけさせていたら、成長しないんじゃないかと不安だよね」

「そうなんですよ。やっぱり、メンバーを成長させたいなら、苦手なことにも取り組ませないといけないと思うんです」

「そのとおりだよ」

「じゃあ、この一斎先生の言葉は誤りだということですか?」

「どう捉えるかだね。私はリーダーのあり方として、メンバーと好悪を一致させることが重要だと理解しているんだ」

「あぁ、なるほど。メンバーが好むことを好み、嫌うことを嫌うということですね」

「うん。ちょっとカッコよく言えば、価値観の共有なのかな」

「そこは大事ですね。その上で、苦手なことに取り組ませる場合は、大変だとは思うけど頑張れ!と背中を押してあげればいいわけか?」

「そういう解釈はどう?」

「わかりやすいです! 誰だって、クレーム対応は楽しいものではありませんが、内容に応じて同行したり、あるいは単独で行かせたりする。そのとき、ただ『しっかりやって来いよ』というのか、『大変だとは思うけど、なんとかお客様の笑顔を取り戻そう』と声をかけるかで、メンバーの気持ちは全然違うでしょうからね」

「そうだね。そうやって辛いことの後にある喜びまで事前に伝えてあげると、何とか乗り越えられるんじゃないかな」

「そうですね。そう考えると『好悪を達する』というのは良い言葉ですね」

「ぜひ、メンバーと共に好悪を達して欲しいね」

「はい。みんなで喜びを分かち合えるチームづくりに力を尽くします!!」


ひとりごと


好きなことだけやらせていては、成長しないかも知れませんが、好きなことをやらせてあげることの重要さを忘れてはいけません。

好きなことができるから、時に辛いことにも立ち向かっていけるものでしょう。


好悪を達する、という至言も心に留めておきたいですね。


hamigaki_iyagaru