今日のことば
【原文】
身には老少有りて心には老少無し。気には老少有りて理には老少無し。須らく能く老少無きの心を執りて、以て老少無きの理を体すべし。〔『言志耋録』第283条〕
【意訳】
人間の身体には若さと老いという区別はあるが、人間の心には老いも若きもない。同様に、気というものには老いと若さの別があるが、天から生じる理には老いも若きもない。なにごとも、老いも若きもない心を活用して、老いも若きもない道理を実践すべきである。
【一日一斎物語的解釈】
若さや老いにこだらない心で、すべての物事に接し、老少など関係のない理を学びとらなければならない。
今日のストーリー
昨日に引き続き、神坂課長はY社の菊池さんと「季節の料理 ちさと」で食事中のようです。
「それにしても、ちさとママはどうしてそんなにお若いんですか?」
「え、若く見える? ところで、菊池君は私のことを何歳だと思っているの?」
「四十代前半だと思っていました」
「ブッ」
「神坂さん、いきなりどうしたんですか。汚いなぁ」
「菊池君、お世辞にも限度ってものがあるぜ。ママが四十代前半って。ははは」
「神坂、笑いすぎ!!」
「まぁ、たしかに、六十代にしては若く見えるよなぁ」
「こら! まだ五十代前半ですけど!」
「信じられないです。絶対五十代には見えません」
「うれしいなぁ。もし、菊池君から見て、私が若く見えるとすれば、常に心を若く保とうとしているからかなぁ」
「心を若く、ですか?」
「うん。体はどうしても少しずつ衰えてはくるけど、心は死ぬまで若くいられると思うの。心の若さを失ったときに、人は本当に老いてしまうんじゃないかな」
「なるほど」
「自分が老けたと思うと、新しいことや挑戦的なことから目を背けがちになるよね。大切な真実には老少なんてないはずなのに、自分の心が勝手にすべてを老いさせてしまうんだと思っているの」
「ママは、日頃そんなことを考えているんですか。すごいなぁ」
「な、だから、君とか俺みたいなおつむの弱い男共には、このお方はご興味がないのさ」
「そうですねぇ。やっぱり、俺には高嶺の花です・・・」
「そんなことないわよ。私は若い男の子が大好きなの。だって、輝く未来が待っているじゃない」
「本当ですか!!」
「おいおい、菊池君。騙されたら駄目だぞ。そうやって、何人もの常連客をカモにしてきたのがこの美魔女様だからな」
「もし、カモに慣れるなら、ネギを背負ってママのところに行きます!」
「だめだこりゃ!」
ひとりごと
人は年を重ねただけでは老いない。理想を失うとき人は老いる。
これは、有名なサミュエル・ウルマンの『青春』という詩の中の一節です。
心が老いると、観るものまで老いてしまうのかも知れません。
常に希望と理想を抱き、宇宙の摂理に老少はないことを肝に銘じて、一度しかない人生を最後まで若く生き抜きましょう!!

