今日のことば

【原文】
人道は敬に在り。敬は固より終身の孝たり。我が軀(み)は親の遺(い)たるを以てなり。一息尚お存せば、自ら敬することを忘る可けんや。〔『言志耋録』第286条〕

【意訳】
人として生きる基本の道は身を慎むことにある。身を慎むとは、もちろん生涯親孝行をすることである。自分の身体は親の遺体だと考えれば、呼吸している間(つまり生きている間)は自らを慎むことを忘れてはいけない。

【一日一斎物語的解釈】
自分の身体は親の遺体でもある。つねにわが身を労わることが、すなわち孝行となるのだ。


今日のストーリー

「おいおい、石崎。どうしたんだよ、その顔」

今日の神坂課長は、出社早々、石崎君が右頬を大きく擦りむいているのを見て驚いているようです。

「チャリンコでコケました」

「痛々しいな。そんな顔で営業に出れるか?」

「大きめのマスクをすれば、ギリギリ隠せそうです」

「あぁ、本当だ。ぱっと見はわからないかもな。しかし、どう転んだら、そういう顔になるんだよ!」

「坂道をちょっと飛ばし過ぎて、カーブを曲がり切れずに壁に激突したんです」

「ガキか、お前は!」

「どうせ課長からはいつも少年と呼ばれていますから・・・」

「でも、その程度のケガで済んで良かったのかもな。そのまま車道にでも飛び出していたら、車に轢かれて死んでたかもしれないぞ」

「はい、よかったです」

「本当だよ。そんな奴を轢いて罪になる運転手が可愛そうだ」

「そっちですか!!」

「冗談だよ。しかし、お前はまだご両親も健在だよな。自分の身体は親の遺体だ、という言葉もある。体に傷をつけないことが最大の親孝行らしいぞ」

「はい。母親に、その程度で済んで良かったと言って泣かれました」

「俺も親になってみて、その気持ちは痛いほどわかるな。自分が親になるまでは、そんなこと考えたこともなかったから、ずっとやんちゃをしてきたけどさ」

「親っていうのはな。息子や娘に偉くなって欲しいとか、成功して欲しいなんて思わないものだ。とにかく元気でいて欲しい。順番を間違って、先に逝くようなことだけはしないで欲しいと思うものなんだ」

「母の涙を見て、反省しました」

「うん。俺も会社ではお前を我が子だと思って接しているからな。もちろん、良い結果を出して欲しいとは思うが、それよりも毎日、元気に楽しく会社に来てくれることの方が嬉しいんだよ」

「だったら、もう少し優しくしてくださいよ」

「そうだな。よしよし、良い子だ」

神坂課長は石崎君の頭をなでなでしています。

「私を我が子のようだと思ってくれるのは嬉しいんですけど、子ども扱いはやめてもらえませんかね!」

「それは、ガキみたいな怪我をしなくなってから言え!」


ひとりごと

我が身は父母の遺体なり、とは昔から言い伝えられてきた言葉です。

親にとって我が子が元気でいることがなによりです。

バカでもいい、元気でさえいてくれたら。

それが親心です。

しかし、親の心・子知らずともいいます。

親の気持ちを少しでも察して、まずは健康な毎日を過ごしましょう!


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