今日のことば

【原文】
余は老境懶惰(らんだ)にして行件都(すべ)て蕪す。但だ言語飲食の慎み、諸を少壮に比するに可なるに庶(ちか)。又飜(ひるがえ)って思う。「此れ即ち是を老衰して爾(しか)るのみ」と。〔『言志耋録』第290条〕

意訳
私はいまや年老いて無気力になり、やることなすこと乱雑になってきた。しかし、言葉と飲食の慎みだけは、若い頃に比べても合格点をあげてよかろう。しかし、よくよく考えてみれば、「それこそが老いた結果なのか」と思うときもある

一日一斎物語的解釈
歳を取ると、すべてが億劫になり、片付けられなくなってくる。しかし、飲食の量は減り、健康的な日々を過ごせる気もする。しかし、それ自体が老いるということなのかも知れない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、西村部長、大竹課長と3人でお酒を飲んでいるようです。

「あれ、西村さん、もう寝ちゃってますよ」

「ボスもお酒に弱くなったよなぁ。昔は3軒は行かないと気が済まない人だったのにねぇ」

「やっぱり年齢には勝てないってことですかね?」

「おい、神坂! 誰がハゲやねん!!」

「いや、誰もそんなこと言ってないけど・・・。なんだ、寝言かよ」

「夢の中でも神坂君に突っ込んでいるんだね。(笑)」

「ははは、勘弁してほしいですね。そういうタケさんは、お酒の量はどうですか?」

「めっきり弱くなったよ。それにトイレも近くてねぇ」

「なんだか、寂しいなぁ。俺が入社した頃は、ザ・体育会といった感じのお二人が、お酒が弱くなったなんて聞くと・・・」

「歳には勝てません」

「でも、考えようじゃないですか。昔のような暴飲暴食をしなくなったということは、それだけ健康的な生活ができているわけですよね?」

「まぁ、そうだね。たしかに老いることは、寂しいことばかりでもないよ。仕事以外の場面でも、今まで培ってきた知識や技術を生かせることも多いしね」

「そういえば、タケさんも勉強会の塾長をやっていましたね」

「うん、読書会の二代目塾長を引き受けることになった。初代塾長が次はぜひ俺にと言ってくれたからね」

「いいですね。私はサイさんの読書会に時々参加しています。最近は、いつかは自分で読書会を主宰してみたいなぁ、と思うようになりました」

「今から10年間、知識と経験を積み重ねたら、神坂君も必ず主宰できるようになるよ」

「そう考えると、歳を取るのも悪くないですね」

「うん。50代を楽しむためにも、40代をしっかり生きないとね。俺も60代を楽しむために、この50代を大切に生きようと思っているんだ」

「ところで、このおっさんどうします? そろそろ閉店ですけど」

「ボスをタクシーで家まで送り届けるのは、なぜかずっと俺の役目だな。まぁ、いいよ。これも恩返しみたいなもんだから」

「さすがはタケさん、大人だなぁ!」


ひとりごと

50歳を過ぎると、なにかと気力が続かなくなるものです。

小生も夜中の読書がとんとできなくなりました。

しかし、老いることは寂しいことばかりでもありません。

今は、土日は毎週のように『論語』の読書会を主宰し、多くの方にご参加頂けて、充実した日々を送っています。

今までのいろいろな経験と『論語』の言葉をブレンドした、小生独自の読書会に対して、勉強になると言ってくださる参加者の方が居てくれることは、本当に幸せなことです。


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