今日のことば

【原文】
老人の自ら養うに四件有り。曰く和易(わい)、曰く自然、曰く逍遥、曰く流動、是れなり。諸(もろもろ)激烈の事皆害有り。〔『言志耋録』第308条〕

意訳
年をとった人が、自らを養生する上で大事な点は以下の4点である。なごやかでやさしくすること、ありのままの自然体でいること、ゆったりと落ち着いていること、流れに逆らわず物事に固執しないこと、これである。何事も激しく極端であると害悪となるものである

一日一斎物語的解釈
人として完成するためには、なごやかでやさしく、自然体で、ゆったりとして、なすがままに身を任せるという四つの徳を養うことにある。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、佐藤部長と「季節の料理 ちさと」に来たようです。

「考えてみると私の周りには、素敵な年の取り方をした先輩がたくさんいるんですよね」

「長谷川先生や相原会長かな?」

「はい、そのお二人はもちろんですし、他にも読書会で知り合った松本さんやサイさん(元同僚・西郷さん)もそうです」

「皆さん、60歳を超えても益々お元気だよね」

「そして何より驚くべきは、未だに学び続けていることです」

「うん。素晴らしい先輩達だよね」

「どういう生き方をしたら、あんな素敵な老人になれるのでしょうか?」

「一斎先生はこう言っているよ。『人として完成していくには、和易・自然・逍遥・流動の4つが重要だ』ってね」

「どういうことですか?」

「簡単に言うとね、なごやかでやさしく、自然体で、ゆったりとして、なすがままに身を任せる。そんな人間になれということだろうね」

「先ほどの諸先輩は、皆さんが今の4つの条件を満たしている気がします」

「私もそう思うね」

「私もああいう年の取り方をしたいなぁ」

「なれるわよ、神坂君なら」

ちさとママがお料理を運んできたようです。

「え、ママ、本当にそう思う?」

「うん。あなたはそういう素敵な方に囲まれているんだもの。ならなきゃダメよ!」

「そっか、そうだよね。佐藤部長にちさとママも大切な先輩だもんな」

「えー、私と神坂君はそんなに年が違わないじゃない?」

「え、いや、あの、たしか九つほど離れていると思うのですが・・・」

「誤差の範囲よ!」

「部長、こういう人も、なごやかで、自然体で、ゆったりと、なすがままと言えるのでしょうか?」

「どうだろう・・・」

「すでに計算もできなくなるくらいボケちゃったんじゃないかなと・・・」

「神坂!!」


ひとりごと

和易・自然・逍遥・流動。

この4つが老いてなお養生する大事な要素なのだそうです。

つまり、この4つの条件を満たせば、ある意味で完成された人間と呼べるのではないでしょうか?

道は遠く険しいですね!


oldman_76