今日のことば

【原文】
養老の侍人は宜しく老婦錬熟の者を用うべし。少年女子、多くは事を解せず。〔『言志耋録』第310条〕

【意訳】
老人の養生に付き添う人には、ベテランで物事に熟練した女性を当てるべきである。若い女の子は、臨機応変に物事に対処できない

【一日一斎物語的解釈】
年配の重役の秘書は、ベテラン社員さんに務めてもらいたいものだ。


今日のストーリー

「相原会長、今日まで本当にお世話になりました」

相原会長の秘書を務める中座さんが今日で会社を去ることになりました。

「とうとうこの日が来てしまったねぇ」

相原会長が目に涙を浮かべています。

「本当にお世話になったねぇ。中座さんとは、もしかしたら女房とより長い時間を過ごしたかもしれないな」

「約40年ですね」

「本当に辞めてしまうんだね」

「相原会長すみません。体力の衰えはどうしようもないですから」

「頭はまだまだ冴えわたっていると思うのになぁ。やっぱり今でも残念で仕方がないよ」

「そんな風に言ってもらえたら幸せです」

「僕のことをすべて知り尽くしている中座さんの代わりは誰にも務まらないんじゃないかと思うんだよ」

「後任の辻内さんもしっかりした女性ですから、大丈夫ですよ!」

「僕みたいな老人には、やっぱりベテランが対応してもらわないと困るんだよ。若い人は臨機応変な対応が苦手だからね」

「辻内さんは、すでに秘書歴15年以上のベテランですよ」

「うん・・・。寂しいなぁ」

「相原会長、会長はもう少し会社のために頑張ってくださいね!」

「中座さんが居なくなると思うと、気力が湧いてこないよ」

「ダメですよ、そんなこと言ってたら。会長はいつでもにこやかに笑っていてくれないと! 相原会長は、我が社の太陽なんですからね!」

「中座さん、ありがとう。元気でね。たまには顔を出してよ」

「はい。たまには会長の元気なお姿を拝見しに伺います。では、そろそろ失礼します」

「中座さん、ありがとう!」

中座さんの手を握った相原会長の目からは大粒の涙がこぼれ落ちました。


ひとりごと

阿吽の呼吸で仕事ができる人がそばに居てくれると楽ですよね。

自分の性格を理解して、常に先まわりで手配をしてくれるような秘書が居てくれたら、仕事も滞りなく進めることができそうです。

まぁ、小生の場合、秘書を持つようなご身分ではありませんが・・・。


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