今日のことば

【原文】
心身は一なり。心を養うは澹泊に在り。身を養うも亦然り。心を養うは寡欲に在り。身を養うも亦然り。〔『言志耋録』第315条〕

意訳
心と体はひとつのものである。心を養うには何事にも淡白でこだわりをもたないのがよい。体を養うのもまた同じである。また、心を養うには欲を抑えることである。体についても同様である

一日一斎物語的解釈
恬淡と寡欲、これこそ精神と肉体を健全に保つ秘訣である。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長とランチに出掛けたようです。

「この前、ウチの課の山田さんと話をしていてね。健全な精神があってこそ、健全な肉体が出来上がるんじゃないかという話になったんだ」

「え? 健全な肉体に健全な精神が宿るんじゃなかったですか?」

「そう、一般にはそう言われているんだけどね。実は、心が乱れると病気になり易いんじゃないかと思うんだよ」

「そうかも知れませんね。もし人間がストレスを感じなければ、120歳まで生きれるという報告もあるようですから」

「現代人はストレスフルの生活をしているからなぁ」

「神坂さん以外はね!」

「バカたれ、俺だって人並みにストレスくらいは感じているわ!」

「そうは見えませんでした。密かにこの人は120歳まで生きるなと思っていました」

「相変わらず失礼な奴だな。まあ、今に始まったことではないけどな。それよりそのストレスについてだけど、森信三先生が面白いことを言っているんだ」

「へぇー、どんな言葉ですか?」

「一切の悩みは比較より生ず」

「どういう意味ですか?」

「人間が抱えている悩み、それをストレスと言っても良いと思うんだけど、それはすべて他人と比較することから生まれている、と言うんだ」

「なるほど」

「つまり他人と比べる生き方から脱却できれば、心は穏やかとなり、その結果、肉体も健全でいれるということだろう」

「でも、他人と比べない生き方って意外と難しいですよね」

「そこは一斎先生にお任せあれだ。一斎先生は、何事にも執着せず、私欲を抑えることができれば、それは可能だと言っている」

「淡白と無欲ってことですか?」

「無欲は無理だよ。一斎先生の言葉で言うなら『寡欲』つまり欲を少なくすればいいらしい」

「それも簡単ではないですよね。神坂さんなんて、その逆で頑固で欲の塊みたいな人じゃないですか」

「お前、久しぶりにげんこつをお見舞いするぞ!」

「都合が悪くなると、すぐに暴力に訴えるのもいかがなものかと・・・」

「ゴン!」

「痛てぇ。俺はあんたといるとすぐに殴られて怪我が絶えないので、健全でいられません!」

「俺もお前といると、クソ生意気なことばかり言われてストレスが溜まる一方だ!」

「ということは、俺たちは一緒に居ない方がいいんじゃないですか?」

「そんな寂しいこと言うなよ・・・」

「じゃあ、どうしろって言うんですか!!」


ひとりごと

心と身体を健全に保つには、恬淡と寡欲に限ると一斎先生は言います。

現代はストレス社会だと言われますが、そのストレスを生み出しているのは誰あろう自分自身ではないでしょうか?

他人と比較することをやめて、なるべく執着を捨て、欲を少なくして、日々を平穏に暮らすことを意識しましょう。

まぁ、120歳まで生きようとは思いませんが・・・。


car_man04_laugh