今日のことば

【原文】
余、今年(辛亥)耋齢(てつれい)にして老の極、肚裏(とり)の夙痾(しゅくあ)も亦同じく衰う。因って思う、「今に於いて宜しく外感を虞(うれ)うべし」と。乃ち日に薬を服して預防し、又益々飲食を節し、起居を慎む。庶(こいねがわ)くは以て一日を延べん。即ち亦身を守るの孝爾(しか)るか。〔『言志耋録』第316条〕

意訳
自分は今年で八十歳になったが、老衰が甚だしくなり、腹の持病も衰え始めてきた。それで、「これからは、外からの病にかからぬようにしなければならない」と考えている。そこで、毎日薬を服用して予防し、また、より一層飲食に適度を守り、たちい振舞いに気をつける。一日でも長生きしたいと願っている。親から受けたこの体を保全していくこと、これも孝行といえるのではないだろうか(孝行といえるのだ)。

一日一斎物語的解釈
私は、今年(1851年)八十歳となり衰えも極まってきて、胃腸の持病もひどくなってきた。そこでこう思う、「いまこそ外気に触れて病にかかることを心配しなければならない」と。つまり、毎日薬を飲んで予防し、ますます飲食を摂生し、起居動作を慎むのだ。願わくば一日でも長く生きていたいと思う。そのように我が身を守ることが孝行といえるのではないだろうか、と一斎先生は言います。


今日のストーリー

営業1課の新美課長が父親とオンラインで会話をしているようです。

「俺も今年で八十歳だからな。そこらじゅうにガタが来て大変だよ」

「あまり外出もしていないのか?」

「下手に外に出て、コロナに罹ったらイチコロだからな。でも、毎朝近所の公園までは散歩しているぞ」

「うん、しっかり身体を動かさないとな。身体は休まっても、頭が弱ってしまうよ」

「幸い今のところボケは来てないみたいだが、たしかにこれじゃ近いうちにお前の顔も忘れてしまうかも知れないなぁ」

「なにを弱気なことを言っているんだよ! 一日でも長く生きてもらいたいと思ってるんだからね」

「うん、そうだな。親父が死んだのが83だからな。その年齢は超えたいと思っている。そうすることが、両親への最大の親孝行だと聞いたことがある」

「そのとおりだ。お酒は控えているのか?」

「酒は控えているというより、あんまり飲めなくなったな。最近は食べるものも気を使っているし、雨の日でも散歩には出ている。それに、頭の体操のつもりで詰将棋を始めたんだ」

「おー、それはいいねぇ。そうだ、胃腸の調子はどうなんだ?」

「相変わらずだな。潰瘍性大腸炎はまた悪くなってきたようで、下痢と便秘を繰り返している」

「それが一番心配だな。定期的に医者には行っているんだね?」

「うん。半年に一回は大腸内視鏡も受けてるよ。あれは検査もしんどいけど、その前がもっとつらいな」

「前処置ね。ニフレックという腸を洗う液体を大量に飲まないといけないからね」

「この年齢の人間に2ℓを半日で飲むなんて、尋常じゃないぞ」

「いろいろ薬は開発されているけど、まだコレという商品はないのが現状だからね」

「早く開発してくれよ」

「ははは。俺は商社の人間だからな。それはメーカーさんにお願いしないと!」

「そうか。まあ、そんなこんなでなんとか生きているよ」

「声にはハリがあるから、心配しなくて良さそうだね。お盆には孫を連れて帰るつもりだから、楽しみに待っててくれよ」

「そうか、それなら頑張って生きないとな。孫の顔を見るのが何よりの薬だよ。去年は会えてない分、今年はたくさん欲しいものを買ってあげたいから、それは許してくれよな!」

「ははは。わかってるよ。じゃ、またね」

「うん、電話ありがとうな」


ひとりごと

なんどかここにも書いていますが、ありがたいことに、小生の両親はいまだ健在です。

両親ともに80歳を超え、それぞれに持病を持ちながらも、元気でいてくれています。

今年こそお盆もしくは年末に、孫を連れて帰りたいのですが、タイミング的に次男が受験なので、果たしてどうなるか・・・。

これを言ったら、両親はがっかりするでしょうけどね。


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