今日のことば

【原文】
老人は養生に托して以て放肆(ほうし)なること勿れ。養生に托して以て奢侈なること勿れ。養生に托して貪冒(とんぼう)なること勿れ。書して以て自ら警む。〔『言志耋録』第320条〕

意訳
年齢を重ねた人は、養生にかこつけてわがままになってはいけない。養生にかけつけて贅沢になってもいけない。養生にかこつけて貪欲になってもいけない。ここに記して自分の戒めとする

一日一斎物語的解釈
身体に良いことをするという名目で、贅沢になったり、貪欲になることは厳に慎むべきだ。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、N大学医学部附属病院の倉庫脇にある休憩室で雑談中のようです。

「菊池君、何か新しいゴシップはないの?」

「神坂さん、俺をゴシップ専門扱いしないでくださいよ。時にはちゃんと商売の情報だって提供しているじゃないですか!」

「そうだったかなぁ? だいたい商売に関していえば、君はライバル会社の社員だからね」

「昨日の敵は今日の友、ってこともあるのが、この業界じゃないですか」

「まぁねー」

「そういえばM社のM代表が、老後のためといって広大な土地を買ったらしいですよ」

「老後って、あの人まだ55か6だろう?」

「はい。でも、これからは添加物の入った食材は食べないようにするとかで、自分が食べる食材を提供する無農薬の農園を買い取ったそうです。ありとあらゆる野菜が作られているらしいですよ」

「すげぇな」

「それだけじゃないです。お肉も松坂牛の生産家と業務提携したり、魚介類も漁協と契約を結んだらしんです」

「それ、全部自分のためなの? 会社の社員さんのためとかではないの?」

「M家専用らしいです」

「そういう贅沢や貪りを養生というのかね?」

「少し前に社長の座を譲っていますしね。かなり自由に好きなことをしているようです」

「俺の尊敬する先輩には、リタイアした後に、臨床宗教師になって地元に憩いの場をつくった人がいるんだよ。それとは正反対の話だな。利己主義の権化じゃないか!」

社員さん達は呆れているらしいです?」

「そりゃそうだろう。自分で稼いだ金だから自由だと言うんだろうけど、あの人はジュニアで、創業者じゃないからな。むしろ、あの人がどれだけ稼いでいるのかって感じだしな」

「総額で1本は下らないらしいです」

「一本って、一億ってことかい?」

「はい」

「背中を追いかけたい先輩もいれば、反面教師もいる。どちらの世界にも縁遠い俺達からしたら、そこから何を学ぶかだな」

「どうでした、今日のネタは?」

「うん、さすがのクオリティだな」

「じゃ、またよろしくお願いしますね。あそこは身体に良いお料理を楽しめますからね」

「あー、『ちさと』に行きたいのね? わかったよ、近いうちにね!」


ひとりごと

養生が贅沢やわがままになってはいけない、と一斎先生は言います。

年齢と共に子供返り(幼児退行)と言われるような現象も出てきます。

小生の知り合いにも、義母の痴呆の症状が悪化して、ネットで大量に買い物したものが毎日届くと嘆いている人がいました。

痴呆でなくても、自制心が聞かなくなることも老化現象のひとつなのかも知れません。

そうなる前に、そうなったら自分を止めてくれと息子たちに伝えておく方が良さそうです。

とはいえ、小生は無駄遣いするほどの試算を持っていない点は安心ですが・・・。


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