今日のことば

【原文】
(ことば)を修めて其の誠を立て、誠を立てて其の辞を修む。其の理は一なり。〔『言志録』第15条〕

訳】
読書を通して立派な人の言葉をよく噛みしめた後に、自分の誠の道を立てることと、誠の道を立てた後に読書によって言葉を修めることは、道理としては同じことである。

【一日一斎物語的解釈
書を読んで言葉を修めてから誠を立てることも、誠を立ててから言葉を修めることも、道理は同じだ


今日のストーリー

営業2課の石崎君が先輩社員の山田さんと同行しているようです。

「石崎君、最近言葉遣いがとてもよくなってきたね」

「え、そうですか。うれしいです」

「学生言葉もすっかり抜けて、社会人らしい立派な言葉を使えている気がするよ」

「カミサマにだいぶ厳しくやられましたから」

「神坂課長は意外と言葉遣いには厳しいよね。あ、『意外となんて言ったら叱られるね。(笑)」

「そうなんですよ。あの人自身、決してきれいな言葉を使っているとも思えないんですけどね。それより、言葉遣いで言ったら、ウチの課では山田さんがダントツに丁寧ですよ。すごく参考になります」

「ありがとう。それは嬉しいな」

「カミサマが言っていたんです。言葉を正しくすることで仕事もしっかりしてくる。それから、お客様のことを大切に思えば、自然と言葉も変わってくるはずだ、って」

「良い仕事をするための道は、言葉とお客様への想いの両方が大切なんだね」

「そう教えられました。読書は言葉を磨く上でも、お客さまへの想いを強くするためにも必要だとも言われました」

「あの人も少し前までは、全然読書してなかったんだよね」

「課長になってから、すごく後悔したと言ってましたよ」

「そういうこともざっくばらんに話してくれるのは有難いことだよ」

「そうですね。基本的には、滅茶苦茶なことを言うことが多いんですけどね」

「そのギャップもあの人の魅力だと思うけどね」

「あー、そうなのかも知れません。その時は、何言ってるんだろうと思うですけど、意外とその言葉が心に残っているんですよ」

「『意外と』ね!」

「そう『意外と』です!」

その頃・・・

「ヘックション」

「課長、季節外れの花粉症ですか?」

「本田君、違う気がする。きっと誰かが俺の悪口を言っているんだろう」

「それならきっと」

「石崎だろうな!」


ひとりごと

言葉を正すことで気持ちも変わります。

逆に気持ちを入れ替えれば言葉も変わります。

誠の道は、言葉を正すことからも、心を正すことからも、極めることができるということでしょう。


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