今日のことば

【原文】
(う)うる者は之を培う。雨露固より生生なり。傾く者は之を覆す。霜雪も亦生生なり。〔『言志録』第16条〕

【意訳】
植えられた物は養われるものだ。雨や露は生き生きとして自然に植物の生長を助ける。また既に傾いてしまった植物は倒れてしまう。霜や雪もまた生き生きとして自然に植物を倒していくのだ。

【一日一斎物語的解釈
驕れるもの久しからず。宇宙の摂理に逆らえば、人も会社も没落せざるを得ない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、N大学の物品倉庫脇にある業者の休憩室で、Y社の菊池さんと雑談をしているようです。

「神坂さん、お久しぶりです」

「やあ、菊地君。御社の社員さんも在宅勤務をしているの?」

「ウチも納品があるので、なかなか難しいですが、担当をうまく割り振りながら半数の社員で回すようにしています」

「さすがは大企業だな。ウチはまったく関係なし。一病院に一人しか担当がいないからねぇ」

「そうですか。私はそっちの方が良いですよ。家に居てもやることもないし・・・」

「情報も取れないしね!」

「あ、そうそう、その情報ですけどね」

「お、何かあるの?」

「HM社の営業本部長をしていた財部(たからべ)さんが退職したらしいですよ」

「え、マジで? あの人がいなくなたら、あそこは崩壊するんじゃないの?」

「ただ、良くも悪くも暴君でしたからね。メーカーのL社から契約を解除されたのを機に粛清されたらしいです」

「驕れる者久しからずか。やはりやり過ぎると、最後は自分に跳ね返ってくるんだな」

「ひと昔前の昭和のマネージャーでしたからね」

「俺も他人のことは言えないけどね」

「たしかに!」

「おい、そこは否定しなさい!(笑)」

「あ、ごめんなさい!!」

「自分の思いのままに振る舞っても、世の中のルールから外れない生き方ができる人を仁者というらしい。しかし、現実には難しいよね」

「そんな人がいるならお目にかかってみたいですよ」

「一応、俺も目指しているんだけど・・・」

「また〜、御冗談を」

「マジだよ!!」

「え、それは実現不可能じゃないですか?」

「わかった。もう君を二度と『季節の料理 ちさと』へは連れて行かない!」

「あ、そんなことないです。よく考えたら、神坂さんは素晴らしい方です。きっと、そういう人になれますよ!」

「君、よくそこまで平気で嘘がつけるね」

「ちさとママに会うためなら!」

「簡単に嘘を認めるな!!」


ひとりごと

孔子の目指す仁者とは、自分の思いのままに行動しても、世の中のルールを踏み外さない人のことを言うようです。

それは言いかえれば、宇宙の摂理に逆らわない生き方と言えるでしょう。

孔子も70代になって、ようやくその域に達したといいます。

あと15年で小生がその域に達するか否か、それは日頃の心がけと努力次第でしょうか・・・。


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