今日のことば

原文】
一芸の士は、皆語る可し。〔『言志録』第61条〕

意訳】
一芸に秀でた人は、皆相通じる共通の思考があるので、共に語り合うことができるものだ。

【一日一斎物語的解釈】
一芸に秀でた者にしか通じ得ないもがあり、語り合えないものがある


今日のストーリー

今日の神坂課長は、新美課長とランチに出かけたようです。

「昨日さ、YouTubeで一流の営業人のパネル討論会を見たんだよ」

「あ、それ私も見ました。保険とか家のセールスの人達の討論会でしょ?」

「そうそう。保険、家、車の営業人が多かったな」

「でも、超高額の医療機器セールスマンも居ましたね」

「俺たちが普段扱っている医療機器とは訳が違うよな。1台3億とかの世界だからさ」

「当社の個人年間計画より高い金額ですからね。コツコツ消耗品の売り上げを積み上げていく我々の仕事がちっぽけに感じてしまいました」

「たしかにね。しかし、業界が違っても売れる人というのは、考え方は一緒なんだな」

「そうですね。一流の人達にしか通じ合えないものがあるように感じましたね。だからこそ語り合えるみたいな雰囲気がありました」

「お客様のためとはいえ、『そこまでやるか?』ということを皆やってるもんなぁ」

「お客様が癌の告知を受ける場面に立ち会うって言ってた保険のセールスマンがいたのには驚きました」

「ウチの会社に出入りしているような保険のおばちゃんとはちょっと訳が違うな」

「同じ営業マンとして見習うべきことが多かったです」

「俺もあの人たちの中に混じって、ディスカッションしたいなぁと思っちゃったよ」

「さすが神坂さんだな。私はそんなとこに出たら、ビビッて何も言えそうもありません」

「ははは、新美らしいな。ところであの動画、今度の営業部の会議のときにみんなで見るのもいいかもな?」

「あー、それは面白いですね。みんなの反応も気になります」

「でも、みんなが大物狙いになっても困るか?」

「消耗品を売るのが馬鹿らしく思われたらマズいですね」

「そうだな。俺たちの仕事は、消耗品をコツコツ積み上げて売り上げのベースを作り、そこに器械売りをプラスオンして計画をクリアしていくしかないからなぁ」

「そうですね」

「ただ、中堅メンバーだけを集めて見せるのは良いかもしれないな。佐藤部長と相談してみよう」

「はい。一流の営業人の考え方を知っておくことは重要だと思います!」


ひとりごと

一芸に秀でた人には、彼らにしかわからない思考や世界があるのでしょう。

テレビなどでも、異なるスポーツのアスリートが対談をする際、お互いに相通じるものを感じて盛り上がる場面を見かけます。

それはもしかしたら宇宙の摂理のようなものを体得することなのでしょうか?

凡事には関係のない世界だと思わず、学び・気づき・実践のサイクルを回して、少しでもそうした一流の人に近づける努力を続けましょう!


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