今日のことば

原文】
人の月を看るは、皆徒に看るなり。須らく此に於いて宇宙無窮の概を想うべし。〔『言志録』第91条〕

意訳
人が月を眺めるときは、皆ただぼーっと眺めるだけである。しかし本当は宇宙の無限極まり無いことを想うべきなのだ。

【一日一斎物語的解釈】
月はいろいろな姿を我々に見せてくれる。しかし、その美しさだけに心を奪われるのではなく、その姿が宇宙の摂理を教えてくれていることに思いを馳せるべきであろう


今日のストーリー

今日の神坂課長は、仕事を終えて佐藤部長と歩いて駅に向かっているようです。

「今日は月がデカいですね。これがスーパームーンですか?」

「いや、スーパームーンというのはおおよそ年に一回しかないんだ。今年のスーパームーンは5月だったよ」

「そうなんですか。そういう決まりがあることすら知りませんでした」

「とはいっても、実は明確な定義はないようだけどね。地球と月の距離が近いときに満月になると、平均的な満月よりも大きく、明るく見えるようになる。そういう月のことを言うらしいよ」

「勉強になります」

「月と地球の距離が一番遠い時に比べれば、直径で約14%大きくなり、約30%程度明るく見えるらしいから、かなりの違いだよね」

「じゃあ、今日の月もそこそこは地球に近い月なんでしょうね」

「うん、そうだね」

「こうやってあらためて見ると、月は美しいものですね」

「だから、昔からお月見をしたんじゃないの?」

「そうか。私はてっきり酒を飲むための口実だと思っていました」

「ははは、あながち間違っていない気もするけど。ただね」

「はい?」

「一斎先生は、その美しさに見とれて、月が教えてくれることを見落としてはいけない、と言っているんだよ」

「月が教えてくれることですか?」

「うん。月の満ち欠けは、物事が常に変わり続けることを教えてくれる。月は、ずっと満月でいるわけではなく、三日月へと変わるでしょ?」

「なるほど」

「しかし、いつしかまた満月に戻る。つまり、月の形は変わるけれど、月の存在は不変だということを教えてくれている。易の言葉でいえば、『不易流行』だね」

「そんなこと考えたこともなかったです。でも、それを聞いて思ったのですが、四季も同じことを教えてくれているんですね」

「うん。ただ、四季は世界のすべての国で感じられるわけではない。その点、月は世界のどこからでも眺めることができるよね」

「あぁ、そうか」

「月というのは、我々人間に宇宙の摂理を教えてくれる最も身近な存在なのかも知れないね」

「今回の新型コロナウィルス感染症も、何かを教えてくれているんでしょうね?」

「そうだろうね。むしろ、何か大切なことを学び取らなければいけないよね」

「あー、わかりましたよ。月見酒だなんだと酒の口実を探してばかりいないで、しっかりと宇宙の摂理を読み取れというメッセージなんじゃないですか?」

「そう思ったなら、それを実行すればいいんだよ。受け取る人がそれぞれに宇宙の摂理を感じて、自分の行動を変えればそれでいいんだよ、きっと」


ひとりごと

自然の美しさに見とれているだけではいけない。

そこに隠れている宇宙の摂理を読み解け!

これが一斎先生のメッセージなのでしょうか?

コロナ禍だからこそ、噛みしめたい言葉です。


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