今日のことば
【原文】
士は当に己に在る者を恃むべし。動天驚地極大の事業も、亦都(すべ)て一己より締造す。〔『言志録』第119条〕
【意訳】
男子たる者は、己独りの力を出し尽くすべきである。どんな大きな事業であっても、すべて独りから始めるのだ。
【一日一斎物語的解釈】
他人に頼らず、自らの力を信じるべきである。どんな大きな仕事も、すべて独りの熱い想いから始まるのだ。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、満足そうにスポーツ新聞を読んでいます。
「課長、さっそく中田選手が結果を出しましたね」
今日は本田さんが話し相手のようです。
「さすがだよな。たった一振りで試合の雰囲気をガラッと変えてしまった。あれは四番を打った男にしかできない芸当だよ」
「すごい当たりでしたね」
「技術だけではあそこまでは飛ばせないだろうな。やはり素質に恵まれた選手なんだよ、彼は」
「しかし、これからも結果が要求されますね」
「それは望むところだろう。男一匹、過ちを犯し、そこから這い上がれるかどうかは、すべて自分次第だよ」
「周りのサポートも重要なのでは?」
「もちろん、そうだね。しかし、彼の場合はもう周囲のサポートによって、こうしてジャイアンツで試合ができている。すでに外堀が埋まっているんだから、あとはやるだけだ!」
「今までの経験を活かせば、きっと活躍する選手ですよ!」
「俺もそう思う。そして、ジャイアンツV3へ向けての救世主となってくれるはずだ」
「もう同じことは繰り返さないで欲しいですね」
「いや、人間の性格はそう簡単に変えられるものではないよ。今後もカッとしたときに手が出そうになることはあるはずだよ」
「そこを堪え凌げるかどうか?」
「とにかく、昨日という一日忘れず、常に感謝の気持ちを持ち続けることだろうな」
「長嶋終身名誉監督の激励を受け、直後にホームランですからね。最高の一日だったんじゃないでしょうか」
「しかし、勝ててないからな。結局ジャイアンツでの通算打率は、5打数1安打の二割でしかない。常に感謝の気持ちをパワーに変え、自分の力を信じて、素晴らしい野球人へと成長して欲しいよ」
「そうですね。しかし、羨ましいなぁ」
「何が?」
「あんな凄い選手が無償トレードで入ってくるんですよ。我が楽天は取り損ねた感じだなぁ」
「それも先人ひとり一人が巨人軍という伝統を守り続けてきた結果だよ。楽天はまだこれからのチーム。歴史を積み上げていかないとね」
「我が社も然りですね!」
「まったくだ!!」
ひとりごと
大きな仕事を成す人というのは、他人に頼り過ぎず、自らを信じて、たとえ独りであっても歩みを止めない人なのでしょう。
「世の中の人は何とも言わば言え 我が成すことは我のみぞ知る」