今日のことば

原文】
士は独立自信を貴ぶ。熱に依り炎に附くの念起す可からず。〔『言志録』第121条〕

【意訳】
丈夫たる者は他者に頼らず己を信じることだ。権力者や金持ちに助けを求める心を起してならない。

【一日一斎物語的解釈】
仕事を完遂するためには、自分の力を信じて行動すべきである。安易に地位や名誉のある人の力を借りることを考えるべきではない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、A県立がんセンター消化器内科の多田先生を訪ねたようです。

「バカヤロー、そういう話は二度と持ってくるんじゃねぇぞ!!」

「す、すみませんでした!!」

どこかのメーカーの営業マン2名が這う這うの体で多田先生の部室から出てきました。

「あれ、ヤバい時に来ちゃったかな。出直そうかな・・・」

「神坂か、入れ!」

「あ、いや。今お取込み中では?」

「もう終わったから大丈夫だ」

「では、失礼します。先生、さっきのはたしか・・・」

「あれはC社の営業マンだよ。あいつら俺に名前を貸せと言ってきやがった」

「どういうことですか?」

「新しく発売するデバイスを売り込むのに、俺が高い評価をしているという宣伝をしたい。ついては指導料として毎月3万円を支払うので、了承してくれないかってな」

「使ってもいないうちにですか?」

「そうだ。要するに俺の名前が使いたいだけなんだろう。胃癌治療の成績で日本トップクラスの俺が評価をしていると言えば、飛びつく医者もたくさんいるからな」

「しかし、普通はサンプルを使ってもらって評価を取るのが先ですよね」

「それがC社のやり方なんだ。欧米のメーカーの考えそうなことだよ」

「モノ自体は、先生の目にはどう映っていますか?」

「悪いデバイスではないと思う。しかし、それほど画期的というわけでもないな」

「まずはしっかりと評価を取ればいいのになぁ。もっと自社の製品に自信を持つべきですよね?」

「そのとおりだ。俺は自社製品を愛していない営業マンの話は聞く気にもならない。ちょっとくらい性能的に劣っていても、この製品が大好きですってオーラを出す営業マンがいると、俺はつい使ってやりたくなるんだ」

「そういえば、先生と初めてお会いしたときに、先生にそう言われたことを思い出しました」

「お前は、自分が売り込む製品に絶大な自信を持っていたよな。正直に言って、大した製品じゃなかったはずだが?」

「はい、あの製品は先生には採用して頂きましたが、結局はあまり売れずに廃盤になりました」

「ははは。そうだったよな。しかし、愚直なまでに製品に惚れこむお前に俺は興味を持ったんだよ」

「はい、そう言って頂いてすごくうれしかったことを思い出しました。『いまどき珍しい奴だな』と言われました」

「しかし、物を見る目は腐っていたがな」

「先生、それは言わないでください。若気の至りってやつですから」

「そうかなぁ、今でもお前が紹介する製品はイマイチなのが多いぞ」

「えー、マジですか?!」


ひとりごと

実力をつけることを怠り、他人の権力にすがろうとするのは情けないことです。

他人の力を借りて成功したとしても、それはニセモノの成功です。

自分を信じて取り組んで、仮にうまく行かなかったとしても、それは経験という貴重な財産となり、後の成功に必ず役立つはずです。

自分を信じて、目の前の仕事に取り組みましょう!!


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