今日のことば

原文】
常人は平素一善の称すべき無くして、偶(たまたま)病篤きに及び、自ら起たざるを知り、遺嘱して乱れず、賢者の為(しわざ)の如き者有り。此は則ち死に臨みて一節の取る可きに似たり。然れども、一種死病の証候、或は然るを致すこと有り。是れ亦知らざる可からず。〔『言志録』第135条〕

【意訳】
凡人であって、平素はとくに称えるようなことのない人が、病気が悪化し、回復が望めないとなると、後のことを託して心を乱さずに、あたかも賢者のように振る舞うこともある。これは死に際しては称えるべき価値のある行動をしたと評することができる。しかし、病の症状として、こうしたことがあるということは知っておくべきである。

【一日一斎物語的解釈】
凡人であっても死に際して最後だけは泰然自若、見事に死ぬ人がいる。ビジネスにおいても、仕事の結末だけを上手に取り繕ってあたかも良い仕事をしたように見せる人がいる。こういう人やこうした仕事に騙されてはいけない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業1課の清水さんとランチ中のようです。

「神坂さん、マネジメントって面白いか?」

「最初は、絶対俺には向いてないと思ったよ。でもな、やってみるとこれが面白いんだ」

「なにが面白いんだ?」

「メンバーが自分のアドバイスを受け入れてくれて結果を出したときなんか、自分が大口商談を決めた時よりはるかに嬉しいもんだぜ」

「そういうものか? そもそも俺は売り上げをいくら伸ばしても、嬉しいという感情を持ったことはないな」

「トップセールスになってもか?」

「うん。俺も仕事で嬉しいという感情を味わってみてぇな」

「メンバーと一緒に喜びたいなら、結果だけを見ていたらダメだぞ」

「え、どういうこと?」

「結果オーライってやつもあるだろう。それに騙されたら駄目だ。やはり、ちゃんと正しい考え方で、正しいプロセスを踏んでいるかが重要だと思うんだよ」

「たしかにあんたは、いつもキレイゴトばかり言ってたよな。でも、そのキレイゴトを実現しやがる。なんて人だと思っていたよ」

「正しい考え方で、正しいプロセスを踏んでも、必ず成功するとは限らない。しかし、成功の可能性は、結果オーライのやり方に比べれば断然高まるはずだろ?」

「それはそうだろうな」

「だから、プロセスをよく見るんだ。結果に一喜一憂するのではなく、プロセスを評価する意識をもつといい」

「そうか、そうすれば、結果がどっちに転がろうか、頑張っている奴には、『よく頑張った』と言ってあげられるし、偶然うまく行った奴には、『次はプロセスをもっと意識しろ』とアドバイスできるんだな」

「そのためには、よくメンバーの仕事ぶりを把握しておく必要があるんだ」

「そうだな。結果だけを評価する方がはるかに楽だな」

「ウチでいうと、石崎とか梅田は、結果オーライの仕事でも、勘違いして調子に乗るタイプだから、特に注意をしているんだよ」

「なるほどな。そうやって後輩と一緒に仕事を作り上げていくんだな。たしかに、自分一人でやるより面白いかもしれないな」

「清水、しっかり準備しておけよ。必ずチャンスは来るからな!」

「ありがとうございます!」


ひとりごと

しっかり準備をしたのに、結果が思わしくないこともあります。

一方、適当にやったのに、なぜか良い結果が出ることもあります。

故野村克也氏は、「負けに不思議の負けなし。勝ちに不思議の勝ちあり」と云いました。

結果オーライは、いわば「不思議の勝ち」です。

偶然の「勝ち」を狙うのではなく、しっかりと準備して「負け」を減らす努力をしましょう!


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