今日のことば

原文】
死を畏るるは、生後の情なり。躯殼有りて而る後に是の情有り。死を畏れざるは、生前の性なり。躯殼を離れて始めて是の性を見る。人須らく死を畏れざるの理を、死を畏るるの中に自得すべし。性に復(かえ)るに庶(ちか)からん。〔『言志録』第138条〕

【意訳】
死ぬことを恐れるのは、人間がこの世に生れ、身体ができた後に発する感情である。死ぬことを恐れないのは、生まれる前の本性であって、天性が身体を離れた後にこの本性を見ることができる。人間は、この世に生まれた後、死を恐れる中から死を恐れない理性を自ら掴みとるべきである。これは本性に帰ることと同じことである。

【一日一斎物語的解釈】
生まれた時には死への恐れなどなかった人間が、生を重ねるにつれて死を恐れるようになる。そして、死を恐れる中から死への恐怖を取り除く努力をしていく。ビジネスにおいても同じである。はじめは失敗を恐れることなく果敢に取り組むことができた仕事であっても、経験を積むうちに失敗の怖さを知って、行動できなくなっていく。しかし、鍛錬を積むことで失敗を恐れずにチャレンジする姿勢を取り戻すことができるのだ。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の梅田君と同行しているようです。

「先週、デモ機の立ち会いをしたのですが、その時に検査を受けた患者さんが昨日亡くなったそうです。20代の女性でした」

「可哀そうだな。まだ、やりたいこともたくさんあっただろうにな」

「それを聞いて、私は死ぬのが凄く怖くなりました。課長は、死ぬことが怖くないですか?」

「うーん、怖いという感情はないかな。しかし、できることなら今は死にたくはないよ。まだガキ共も成人していないしな」

「実は、その事を考えていたら昨夜は一睡もできませんでした」

「おいおい、じゃあ運転を変われ。俺が運転するよ」

「あ、大丈夫です。その事が頭から離れなくて、今もまったく眠くないので」

「それはそれで心配だな」

「課長、私の寿命はどのくらいあるのでしょうか?」

「俺は預言者じゃないし、占い師でもないからな。それはわからないよ。ただな」

「はい?」

「人間は必ず死ぬ。どれだけ長生きしたって100年程度だ」

「そうですね」

「そうだとすれば、いつか必ず来る死を恐れる暇があったら、今自分がやるべきことややりたいことに精一杯時間と労力を使った方が良いと思わないか?」

「悩んでいる時間がもったいないということですか?」

「俺はそう思う。少なくとも自分が死を覚悟した時に、『あれをやっておけばよかった』なんて後悔をしたくないんだ。『まあ、自分なりに精一杯生きたなって自分で自分を労って死んでいきたいんだよ」

「そうですね。私は、結婚もしたいし、バイクも欲しいし、海外旅行にも行きたいです。それに社内で出世したいという気持ちもあります」

「それなら、そうしたやりたいことを実現させるために、今できることに精一杯力を尽くせば良いじゃないか!」

「はい! 自分が死ぬときに、『俺はやりたいことは全部やり切った』と思えたら、それは幸せな人生なんでしょうね?」

「最高の人生じゃないかな。死ぬことを恐れるより、今を生きることを楽しめ! 俺はそう思って毎日を楽しんでるぞ」

「さすがです! 実は今日の夜から2泊3日で彼女と旅行に行くんです。思いっきり楽しんできます!」

「彼女とデートか、羨ましいなぁ。俺も若い頃に戻りたい!」

「課長! さっき、今を楽しもうって言ってたじゃないですか!!」

「あ、そうだった。大変、申し訳ない!」


ひとりごと

誰しも一度や二度は、自分の死というものについて考え、死を畏れた経験はあるでしょう。

しかし、昨日もコメントしたように、死ぬことは自分ではコントロールできません。

それなら、死ぬときに後悔のない生き方をするしかありません!

自分が為すべきことや、やりたいことに全力を傾けて、毎日を燃焼し尽くしましょう!!


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