今日のことば

原文】
敬すれば則ち心精明なり。〔『言志録』第157条〕

【意訳】
敬の心があれば、心は清らで穢れないものとなる。

【一日一斎物語解釈
常に人を敬い慎む心があれば、心は清らかで明るくなるものだ。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、喫茶コーナーで特販課の雑賀さんと雑談をしているようです。

「最近、清水さんにいろいろと指導をして頂く機会が多くなったんですよ」

「あいつは、お前に親近感を覚えているんじゃないか?」

「はい。同じ臭いがすると言ってくれました」

「それ、うれしいか?」

「はい」

「あいつは、一匹狼で、後輩たちもみんなビビっているんだぞ」

「でも、根はすごく優しい人ですよ」

「たしかにな。あの口の利き方は問題だけど、意外と人の本質を見抜いているところがあるからな」

「私は、あの人のような営業マンになろうと決めました!」

「それ、大累が聞いたら泣くぞ」

「もう言いました」

「おいおい、落ち込んでなかったか?」

「いえ、たしかに目標となる先輩がいることは良いことだと言ってくれました」

「へぇー、あいつも変わってきたな」

「もちろん大累課長のことも尊敬していますよ。でも、仕事の進め方でいうと清水さんのやり方に憧れてしまうんですよ」

「尊敬する気持ちとか、憧れる気持ちっていいよな。そういう話を聞く俺まで清々しい気持ちになる」

「悪口は周囲の人の気持ちまで暗くしますよね」

「そうなんだよ。ところが、俺はけっこう人の悪口を言っちゃうんだよな」

「私もです」

「ってことは俺たちも似た者同士か。(笑)」

「清水さんは神坂さんに憧れていますよね」

「そうか?」

「はい。あの人の話には、何度も神坂さんの名前が出てきますよ」

「そうか、そうだったら俺も嬉しいよ。ずっとあいつのことを心配してきたからさ」

「石崎も神坂さんが大好きですよ」

「それは俄かには信じがたいな」

「たしかにあいつは直接口にはしませんけど、言葉の端々にそれを感じます」

「それくらいにしておこう。四十を超えてから涙腺が緩くなってきてさ」

「神坂課長、泣いてるんですか?」

「尊敬する気持ち、憧れの気持ち、それを聞いて流す涙。どれも美しいと思わないか、雑賀」

「はい、私はこの会社に入社できたことに心から感謝しています!!」


ひとりごと

人を敬う心、憧れる心は美しいものですね。

もしかすると、そういう心こそ、人が本来もっている純粋な心なのかも知れません。

お互いに敬い合う職場は、お互いに軽蔑し合う職場に比べて、間違いなくパフォーマンスも高いでしょうし、離職率も低いでしょう。

リーダーであるあなたがそういう組織を作りたいなら、まずリーダー自身が部下であるメンバーに対して敬意を表してみてはいかがでしょうか?


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